2003 Fiscal Year Annual Research Report
スピンギャップを内在する量子反強磁性系におけるラマン散乱スペクトルの理論計算
Project/Area Number |
15540362
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
夏目 雄平 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80114312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福元 好志 東京理科大学, 理工学部, 助手 (00318213)
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 教授 (70189075)
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Keywords | 量子反強磁性 / ラマン散乱 / 交換散乱機構 / シングレツト対 / 数値対角化 / 低エネルギー励起 / ヤーンテラー効果 / 量子カオス |
Research Abstract |
本研究は、反強磁性体における磁気励起による光学的性質に関する理論計算の研究として、スピン系の低エネルギー励起をスピン波描像に基づいて調べている。特に平成15年度は、有限スピン数の系を数値的に厳密対角化して、その固有値・固有ベクトルから交換散乱スペクトルスペクトルの再構成を試み、それを、スピン波励起と関連づけて解析した。対象とした量子反強磁性体は、平面上にシングレットダイマーがお互いに直行して整列した銅酸化物反強磁性体SrCu_2(BO_3)_2を対象として、基底状態におけるスピン間の相関関数、交換散乱スペクトル計算を通じて、低次元系に特有な量子反強磁性の低エネルギー励起の性質を詳しく調べた。具体的には、シングレットダイマー間の相互作用によって現れる新たな磁気相の構造を推測した。本研究は、交換散乱スペクトルの部分が査読付き論文としてMRS-J(Transactios of Materials Research Society of Japan Vol.28,No.4,(2003)pp.1307〜1310)へ公表された。さらに、相関関数の部分が査読付き論文として、MRS-J(2004)に印刷中である。また、この研究は磁性の発現を与える基礎メカニズムとして、ヤーンテラー歪の効果と密接に関連しているが、この効果を磁気的g因子に現れる量子カオスとして捕らえて論文としてまとめた。これは、磁性体研究に新しい視点を与えるものである。実際、これは査読を経て米国物理学会誌Phys.Rev.Vol.E68,(2003)p.046201-1〜8へ掲載された。現在は具体的に磁性化合物を対象としてヤーンテラー歪の効果と光学スペクトルとの関係を量子化カオスという領域から調べる試みを行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Natsume, N.Koide, T.Suzuki: "Numerical Study of Magnetic Raman Spectra in Quantum Anti ferromagnetic Systems"Transactions of Materials Research Society of Japan. Vol.28・No.4. 1307-1310 (2003)
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[Publications] T.Yamasaki, Y.Natsume, A.Terai, K.Nakamura: "Chaos and its quantization in dynamic Jahn-Teller systems"Physical Review(米国物理学会誌). Vol.E68. 046201-1-046201-8 (2003)
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[Publications] Y.Natsume, N.Koide, T.Suzuki: "Study of Excited State in Quantum Antiferromagnets by Computational Reproduction of Magnetic Raman Spectra"Transactions of Materials Research Society of Japan. (印刷中). (2004)
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[Publications] 夏目雄平, 小川建吾, 鈴木敏彦: "計算物理III-数値磁性体物性入門-(第2刷)"朝倉書店. 148 (2003)