2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペロフスカイト型酸化物の量子効果による物性と相転移の理論
Project/Area Number |
15540367
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松下 栄子 岐阜大学, 工学部, 教授 (20183105)
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Keywords | ペロフスカイト型 / 酸化物 / 相転移 / 量子効果 / リラクサー / プロトン伝導 |
Research Abstract |
ペロフスカイト型酸化物は、酸素八面体を基本とする積層構造のゆえに、強誘電性から超伝導性に至るさまざまな物性を示す。このことを内在する量子効果に注目し、構造特有の種々のフォノンを介して生じる相転移について、解析理論で研究した。 (1)プロトン伝導に関しては、酸素八面体の頂点酸素Oを共有した頂点接触型のY(Yb)置換ABO_3(A=Sr, Ca ; B=Ti, Zr, Ce)の構造中を、量子効果をもつプロトン(H^+)がO-O上で一瞬、水素結合を作りながら拡散する機構を解明し、クリーンな燃料電池の固体電解質で半導体並に電気伝導することを説明した。一方、O-Oを共有する辺接触型に構造を変えるとH^+は伝導出来ず、量子効果の無いLi^+なら拡散出来ると判明し、リチウム電池の電気伝導を説明できたと同時に、2種類の伝導機構を一つの理論体系に発展させたことになり、国際会議で発表した(2004.8)。 (2)量子常誘電性に関しては、SrTiO_3の量子効果を^<16>O→^<18>O同位体置換や圧力印加により制御すると、常誘電性-強誘電性が切替わる現象を、統一的に理論説明した。これは空間自由度や酸素八面体の積層構造の違いからくるフォノンの種類と、役割を解明する微視的理論に発展させることで、高温超伝導体におけるフォノンの寄与を解く鍵に繋げることができた。 (3)リラクサー探索に関しては、小型大容量コンデンサーや圧電素子への応用から、Pbフリーの酸化物開発のため発現機構の解明が急務で、最もリラクサー特性が強く出るモルフォトロピック相転移について、現象論での説明に成功した。また、同様の現象を強-反強誘電体混晶の相境界において探索したNMR-NQRの理論に成功し、論文を出版した(2004.9)。 以上の成果により、次年度からの後半戦に研究を発展させる礎とすることができた。
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Research Products
(3 results)