2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペロフスカイト型酸化物の量子効果による物性と相転移の理論
Project/Area Number |
15540367
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松下 栄子 岐阜大学, 工学部, 教授 (20183105)
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Keywords | ペロフスカイト酸化物 / 相転移 / 量子効果 / フォノン / リラクサー / 高温超伝導 / プロトン伝導 |
Research Abstract |
ペロフスカイト型酸化物は酸素八面体の積層構造を基本とし、関連構造をもつ一連の酸化物には、強誘電体を初め、量子常誘電体から高温超伝導体までさまざまな物質が存在する。その特異な電気伝導度や物性は、応用に直接繋がる点でも物理的解明が必要とされる。本研究では、物質に内在する量子効果に注目し、構造特有のフォノンを見極め、種々のフォノンの媒介による相転移の解析理論を展開した。以下に、4つの研究項目別に述べる。 1.クリーンな燃料電池の機構であるプロトン伝導に関しては、リチウム伝導との総合的な観点から、酸素八面体の積層構造(頂点接触型、辺接触型)と動くイオン(H^+,Li^+)の量子効果の差異により統一的解釈をし、国際会議で発表した(2006.4)。 2.量子常誘電性に関しては、srTiO_3の^<16>O→^<18>O同位体効果による常誘電-強誘電性転移の微視的理論を展開した。TOフォノンモードの役割を考慮し、STO18の圧力効果やSTO16の一軸性応力効果とも統合した理論にして国際会議で発表した(2006.5)が、拡張理論は次のIEEE国際会議で発表予定である(2007.5)。 3.リラクサー特性については非鉛系物質の探索が急務で、小型大容量コンデンサーに即応用可のため、発現機構やリラクサー現象の特定、グラスとの相異等を理論的に明確にした。X線散漫散乱(静的特性)とNMR-NQRスペクトル(動的特性)の微視的理論開発に成功し、リラクサーの定義やグラスとの判別条件を突き止めた。さらにペロフスカイト酸化物の逐次相転移を一般論で扱い、モルフォトロピック濃度相境界との関連を解明した。学会発表済(2006.5)で、内容を纏めた壮大な論文は既に採択され、現在印刷中である。 4.高温超伝導に関しては、角度分解光電子分光(ARPES)実験によるLOフォノンの示唆を考慮するため、実空間表示を用いたBCS拡張式を導出し、ペロフスカイト関連構造別に異なるT_cの^<16>O→^<18>O同位体効果を説明した。T_cの式における光学フォノンの役割を明確にし、クーパー対発生の機構をほぼ絞り込むことに成功し、次の低温物理国際会議(2008.8)で発表する素地を固めた。
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Research Products
(6 results)