2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しいモンテカルロアルゴリズムを用いたランダム・量子スピン系の研究
Project/Area Number |
15540374
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60125515)
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Keywords | シミュレーション手法 / モンテカルロ法 / フラストレーション / 希釈系 / クロックモデル / スピングラス / 最適化 |
Research Abstract |
物性物理学の研究の発展において、計算機シミュレーションの果す役割が一層増してきているが、スローダイナミックスの問題がしばしば計算機シミュレーションを困難にしており、これを克服する新しいシミュレーション手法を提案することが急務の問題となっている。我々自身も、最近、確率変動クラスターアルゴリズムなどの提案をしてきたが、新しいモンテカルロアルゴリズムを用いて、これまで困難とされてきたランダム・量子スピン系の解明を行うことに本研究の目的がある。 本年度は第一に、フラストレーション系を研究対象とした。フラストレーションは系の対称性を変化させ、新しいタイプの相転移を起こすなど興味ある系である。2次元fully-frustrated XYモデルに関して、KT転移とカイラリティー転移が異なる転移点で起こるか同一の転移点か、カイラリティー転移の臨界現象はイジング系から変化するかどうか、論争が続いている。fully-frustrated 6状態クロックモデルをとりあげ、状態密度を直接計算するモンテカルロ法を用いて、その相転移の性質を調べた。2段階転移シナリオと臨界指数の変化を支持する結果を得た。またクロックモデルの離散性に起因するもう一つのKT転移を得た。第二に、希釈クロックモデルの相転移を調べた。KT転移に対する希釈の効果に関して異なる結論の議論が展開されてきているが、我々は、浸透しきい値で連続的にKT転移が0になること、相関の減衰を表す指数ηが希釈によらず、KT転移に共通の値になることを示した。第三に、スピングラス問題の基底状態の探索に関連して,最近提案された最適化アルゴリズムであるExtremal Optimization(EO)法とモンテカルロアルゴリズムの応用の比較を行った。EO法はパラメータを最適値に選ぶと短い探索時間が得られるが、Equal-hit法とよぶモンテカルロアルゴリズムも同程度の効率が得られることを示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.-S.Wang, et al.: "A comparison of extremal optimization with flat-histogram and equal-hit dynamics for finding spin-glass ground states"J.Phys.Soc.Jpn. 72・6. 1380-1383 (2003)
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[Publications] Y.Okabe et al.: "Novel Monte Carlo algorithms and their applications"Physica A. 321・1-2. 340-350 (2003)
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[Publications] Y.Maniwa et al.: "A one-dimensional Ising model for C_<70> molecular ordering in C_<70>-peapods"New J.Phys.. 5. 127-1-127-5 (2003)
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[Publications] T.Shima et al.: "Self-Consistent Field Theory to Viscoelastic Behavior of Inhomogeneous Dense Polymer Systems"Macromolecules. 36・24. 9199-9204 (2003)