2004 Fiscal Year Annual Research Report
原子分子を光学的プローブとする超流動ヘリウムの量子物性検出実験
Project/Area Number |
15540383
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Research Institution | Faculty of Science, Toyama University |
Principal Investigator |
森脇 喜紀 富山大学, 理学部, 助教授 (90270470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 房和 富山大学, 理学部, 教授 (40142236)
小田島 仁司 明治大学, 理工学部, 助教授 (50233557)
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Keywords | 超流動ヘリウム / 固体ヘリウム / レーザー分光 / レーザーアブレーション / エキサイプレックス |
Research Abstract |
低温ヘリウムガス中にMg原子,Ba^+イオンを生成し、そのレーザースペクトルを測定することにより、不純物原子・イオンとその周りのヘリウムとの相互作用を調べた。 1.低温ヘリウムガス中のMg原子の分光 液体ヘリウム中の不純物原子はパウリの排他律に基づく斥力により周りのヘリウム原子を遠ざけることにより真空の空洞を形成することが知られている。Mgではそのスペクトルの広がりがバブルの形成だけでは説明出来ず、励起状態でMg^*-He_n(nは10程度の大きさ)のエキサイプレックスを形成している可能性があることを指摘していた。温度4-30K、圧力0.1MPa以下の範囲でヘリウムガスを導入し、そのヘリウムガス中にMg原子を生成、分光できる実験容器を作成し、低温ガス中でのMg原子の発光スペクトルを温度、圧力をパラメータとして調べた。ヘリウム温度の低下と伴に、発光スペクトルの線幅が拡大し、さらに低下させると長波長側に新たに明確なスペクトル構造が現れ、温度の低下と伴にこの構造は明確となることが分かった。このことから、低温ヘリウム中ではMgがエキサイプレックスを形成することが検証された。分子構造を明らかにするためにはさらに理論解析を進める必要がある。 2.Ba^<+*>-Heエキサイプレックスの形成・解離ダイナミックス Ba^+-Heの2体断熱ポテンシャルを理論的に計算し、Ba^<+*>-Heエキサイプレックスからの発光スペクトルを予想し、実験において低温ヘリウムガス中でのBa^+の発光スペクトルのからBa^<+*>-Heのスペクトルを分離し、Ba^<+*>とHeとの衝突によるエキサイプレックスの形成、振動緩和、解離などのレートが求められた。さらに、これらの過程を説明するためのモデル計算を行った。
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Research Products
(1 results)