2004 Fiscal Year Annual Research Report
反陽子と分子の衝突による反陽子水素原子生成の反応動力学研究
Project/Area Number |
15540385
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
崎本 一博 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙科学共通基礎研究系, 助手 (60170627)
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Keywords | 反陽子 / 反陽子水素原子 / 水素分子イオン / 電離 / ミューオン / 化学反応 / エキゾティックアトム / プロトニウム |
Research Abstract |
広範な衝突エネルギーでの反陽子と水素分子イオンとの衝突反応過程について調べた。 1、keV以上の衝突エネルギーでは電離が重要である。 電離過程は半古典論を用いて計算した。数値的直接解法を使うことにより、電子の束縛・連続状態を共に正確に解くことができた。分子の振動回転に対しては、高エネルギー衝突であることから、瞬間近似を用いた。さらに、分子の振動運動に対してはFranck-Condon近似が有効であることがわかった。 電離断面積は中性水素分子標的よりもずっと小さくなり、水素分子イオンの結合原子極限であるヘリウムイオン標的よりもかなり大きいことがわかった。 2、数百eV以下の低エネルギーでは反陽子水素原子(プロトニウム)生成が重要である。 この反応を調べるために、まず反陽子・水素分子イオン系の断熱ポテンシャルエネルギー曲面を計算し、この曲面上の衝突運動として反陽子水素原子生成を古典軌道モンテカルロ法で計算した。 本反応系は反陽子水素原子を生成する効率が非常に良いことがわかった。特に、水素原子標的の場合よりも高いエネルギーで反陽子水素原子が生成されることは重要である。 さらに高い生成効率を期待するため振動回転励起状態からの反応も調べてみたが、残念ながら生成効率は変わらなかった。 反応機構の物理的理解を深めるため、負のミューオンと水素分子イオンによるミューオン捕獲反応も計算した。この結果、反陽子水素原子生成と反応断面積に大きな違いがあることがわかった。このことは、水素原子標的で反陽子とミューオンとでほとんど反応断面積が変わらないことと大きな違いを示している。 多原子分子標的の研究を念頭におき、経験的にポテンシャル曲面を作ることを検討してみた。
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Research Products
(5 results)