2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応および生体分子系における反応選択性・記憶の動的発現原理
Project/Area Number |
15540394
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小松崎 民樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (30270549)
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Keywords | 化学反応ダイナミックス / たんぱく質ダイナミックス / カオス力学系 / 相空間幾何学 / 多遷移過程 / 次元縮約性とエネルギー地形 / 法双曲的不変多様体 / 遷移状態 |
Research Abstract |
1)我々は高次元カオス力学系に存在する法双曲的不変多様体に立脚して新しい相空間構造に基づいた化学反応動力学の統一理論を構築することを目指している。今年度は3自由度系HCNの異性化反応を取り上げ、相空間上の動的反応経路、相空間上の基準座標に相当する標準形座標の可視化に成功した。サドル領域における法双曲性が破れる十分条件を導出し、遷移の「真の統計性」の起源を考察した。(投稿準備中)。 2)主成分区間におけるエルゴード性と構造転移および機能との関係を明らかにするために、Straubらにより開発された運動エネルギー揺らぎを指標にしたエルゴード測度を主成分空間上で展開する手法の開発を行った。 3)一分子計測の時系列情報から、背後に存在するダイナミックスが第ゼロ近似として統計性に従うものとし、多次元の自由エネルギー地形を推定・評価する方法論の開発を行った。滞在頻度および遷移頻度から各状態の自由エネルギー値を評価し、各状態間の計量関係を保存した自由エネルギー地形を評価する方法であり、今年度は任意の一分子時系列データを解析するためのプログラム開発を行った。 4)極小エネルギー構造間の距離関係を保存した新しい多次元エネルギー地形の可視化手法、ならびに構造多様性の新たな指標を導出し、46ビーズタンパク質に適用し、人口および天然タンパク質の構造多様性と外部摂動に対するエネルギー地形の頑健性を考察した(J.Chem.Phys.掲載)。 このほか、ポリアラニンのHelix-Coil転移ダイナミックスにおける水の場の集団運動に関する研究なども行った。研究成果に関しては、国際会議5件(うち、2件は招待講演)および分子構造総合討論会、生物物理学会などで発表(7件、うち5件は招待講演)し、学術雑誌Adv.Chem.Phys.の編集、総説執筆ならびにJ.Chem.Phys.に論文を掲載した。
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Research Products
(5 results)