2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540395
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
好村 滋行 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (90234715)
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Keywords | ラフト / マイクロドメイン / 生体膜 / コレステロール / 相分離 / ランダウ自由エネルギー |
Research Abstract |
細胞膜は脂質やコレステロール、蛋白質などによって構成されている。最近の研究によって、細胞膜中ではこれらの物質が不均一に分布しており、「ラフト」と呼ばれる動的ドメインを形成していることが明らかになってきた。このドメインは、主に飽和脂質とコレステロールで形成されている。ラフト構造は、細胞内での物質輸送や情報伝達に関係していると考えられている。本研究では、細胞膜中のラフト構造の形成要因を物理的に理解し、そのモデルを構築することを目的とした。 今年度は、生体膜における「ラフト」の形成要因を理解する目的で、飽和脂質+不飽和脂質および脂質+コレステロールの二成分混合膜のモデルを考案した。我々は生体膜の側方相分離と内部構造の現象論的な結合を考慮し、それが脂質膜のゲル・液晶相転移に与える影響を調べた。飽和脂質の転移温度が不飽和脂質の存在によって変化することと、コレステロールが構造相転移における外場の役割を果たすことを仮定して、混合膜の相図を系統的に求めた。得られた二成分系の相図を組み合わせて、飽和脂質+不飽和脂質+コレステロールの三成分系の相挙動についても考察した。また、二成分系における現象論的なパラメータを用いて脂質三成分系の相挙動を定量的に予測した。その結果、低温では広く二相共存領域が現れ、ある温度範囲では三相共存領域も出現することがわかった。脂質三成分系と脂質A+脂質B+コレステロール三成分系の相挙動の違いについても考察した。 また、二成分の脂質から成るラメラ相において、相分離と非束縛転移が連動するモデルを考案し、その相挙動を理論的に詳細に解析した。
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Research Products
(6 results)