2003 Fiscal Year Annual Research Report
火山フロント近傍の地殻深部低周波地震発生域の比抵抗構造
Project/Area Number |
15540400
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三品 正明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70004421)
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Keywords | 火山フロント / 比抵抗構造 / 広帯域MT法 / 地殻深部低周波地震 |
Research Abstract |
東北日本弧の火山フロント付近に,いくつかある地殻深部低周波地震発生域の中から,初年度観測地として鳴子火山付近を通る東西測線を選んだ.新庄(山形県)と一迫(宮城県)を結ぶこの測線の位置は,東北日本弧の中でも地震波トモグラフィによる構造研究が最も精度よく得られている地域のひとつである.長さ約50kmの測線上の13点において広帯域MT観測を実施した.測定にはフェニックス・ジオフィジックス社製のMTU-5を用いた.国土地理院水沢測地観測所江刺観測場でのMT連続観測値を参照データとして,リモートリファレンス処理を行い,300〜0.00055Hzの帯域でおおむね良質のMTインピーダンスを得ることができた.解析作業の途上であり,最終結果には至っていない.予備的に行った解析結果を以下に記す.重力異常分布や,Groom-Bailey decomposition結果を考慮して,構造の走向をN15E方向にとり,簡易の2次元インバージョンを実施した.新庄盆地,向町盆地(山形県最上町),花山村(宮城県),一迫町では,浅部地表付近に低比抵抗域がある.向町および花山はそれぞれ第三紀にできたカルデラとされている地域である.新庄盆地東方と,向町カルデラおよび花山カルデラの下にはそれぞれ深さ3〜15kmに高比抵抗域がある.下部地殻では向町カルデラの下20〜30kmに低比抵抗域がある.この低比抵抗域から斜め上方に伸びる2つの低比抵抗帯が,新庄盆地,および鳴子火山周辺へと続いている.また,花山カルデラの下の高比抵抗域は下部地殻まで達している.これらの高,低比抵抗分布は,地震波トモグラフィーから得られた地震波の高,低速度分布と非常に良く対応している.
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