2004 Fiscal Year Annual Research Report
1980年伊豆半島東方沖地震に伴った地殻内地震波速度変化の研究
Project/Area Number |
15540409
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古本 宗充 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (80109264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 良浩 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80283092)
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Keywords | 応力 / 地震波速度変化 / 地殻 |
Research Abstract |
伊豆大島内を発震源とする,地震波速度変化の検出を目指した実験期間中に,1980年伊豆半島東方沖地震が発生した。本研究では,この観測データを再解析し,この地震に伴った地震波速度変化の存在とその変化量を明らかにするとともに,地震波速度の応力依存性の空間分布を調べることを目指した。これまでの我々の研究において,観測された地震波速度の時間変化には,海洋潮汐成分と経年的応力蓄積による2つの成分があることがわかっていた。本研究ではそれらを取り除くことで,地震発生後の応力変化に伴ったより微弱な変化成分を抽出した。解析の結果明らかになった変化量は,観測点毎に異なり,波線に沿った平均速度が速くなった観測点と,反対に遅くなった観測点の両方が見られた。特に地震波速度が速くなるという観測は,他の研究で指摘されているような地震の揺れで地表付近の岩石に「緩み」が出来て速度が変化したという考えでは説明できず,地下での速度増加を意味する。地震波速度の応力依存性の空間分布,特に深さ方向の分布を調べるため,波線全体での見かけ速度変化と領域での応力変化量の概算値から,見かけの依存性を求めた。震央距離が長くなるほど波線が地下深部を通過することを利用して,この見かけの依存性と震央距離の関係から依存性の空間分布の推定を行った。見かけ依存性のデータとして,本研究で得られた値だけではなく,これまでに報告されているデータのコンパイルも行った。解析の結果,依存性は表層で1(/MPa)程度の大きさであり,深さとともに急速に減少し,1〜2km深くなる毎に1/e(eは自然数)で減少することが分かった。
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