2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540410
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小田 仁 岡山大学, 理学部, 教授 (50127552)
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Keywords | 地球中心核(内接) / 差動回転 / 地震波異方性 / 地球自由振動 / コアモード / スペクトル |
Research Abstract |
地球中心核(内核)は東半球で地震波異方性がなく西半球にそれが存在する,いわゆるdegree-1の不均質異方性構造をしている,と報告されている。このような構造をもつ内核が差動回転すれば、地球自由振動のコアモードのスペクトル構造は時間的に変化することが期待される。そこで、degree-1の内核不均質異方性速度構造が、コアモードのスペクトル構造に与える影響を計算によって調べた。計算にはdegree-2のマントル不均質性構造も考慮した。内核の地震波異方性については、地球の自転軸の周りで六方対称である異方性を仮定した。地球の自転・楕円性、重力の影響を考慮し,与えた不均質異方性地球モデルについて,コアモードの固有周波数やスペクトルを変分法で計算した。その結果,内核の西半球が異方性を持つ場合,コアモードを構成するシングレットの固有周波数は,内核全体に異方性がある場合と異方性がない場合の固有周波数の中間値になることが解った。また,スペクトル構造にも違いが見られた。この計算結果については詳細な検討が今後必要である。また,暫定的には,異方性が内核の半球と全球にある場合の固有周波数やスペクトル構造の差は異方性の強さに依存することが示唆された。従って,P波走時の観測から推定された内核の異方性データを用いた場合,周波数の差は数μHz以下となるため,地球振動スペクトルの観測誤差を考慮すると,異方性が半球と全球にある場合の固有周波数やスペクトルの違いを検出することは困難であるといえる。また,六方対称軸を自転軸について10°傾け,内核を自転軸の周りに任意の角度だけ回転させた場合のスペクトル構造やシンダレットの固有周波数の変化を計算によって調べた。その結果,差動回転によるスペクトルの変化は非常に小さいが,スプリティング関数の変化は検出できる可能性を指摘した。
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