2004 Fiscal Year Annual Research Report
太陽風中MHD波動の位相相関:Geotail衛星データと計算機実験による解析
Project/Area Number |
15540428
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
羽田 亨 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (30218490)
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Keywords | 磁気流体乱流 / 磁気流体波動 / 位相相関 / 乱雑位相近似 / 非線形波動 |
Research Abstract |
これまで、太陽風中の磁気流体(MHD)乱流を構成する大振幅MHD波動の位相相関に対して、我々が最近開発した方法を用いることにより、位相相関を定量的に評価しさらに位相相関の起源を明らかにすることを目的として研究を行って来た。乱流データとしては、太陽風中でも特に大振幅であり、波動間の非線形相互作用が顕著である、無衝突衝撃波上流域の磁場データ(Geotail衛星観測による)、および主として微分型シュレーディンガー方程式の計算機実験により得られる波動データを用いた。平成16年度に得られた結果は、以下の通りである。 ○我々は以前より、与えられた時系列データからサロゲート法により位相相関を定量的に評価する方法について開発していたが、この方法に対する基本的な特性(誤差評価、適正なデータ長の選び方、データギャップによる汚染など)を議論した。 ○Geotail衛星データにde Wit and Krasnoselskikh(1996)の方法を適用することにより、波動間位相相関の大きさの、主磁場に対する3次元的角度依存性を評価した。この結果、位相相関は主磁場に対して垂直方向で最大となること、この一方主磁場に対する垂直な画内で、位相相関の大きさは一定ではなくかなりの変動があること、を見出した。 ○アルフヴェン波動の長時間発展をモデル化する微分型シュレーディンガー方程式の時間積分により、物理空間での波形の変動と位相相関の変動との関連を議論した。自己変調不安定性等による物理空間での孤立波の生成は、同時に位相相関の上昇をもたらすが、必ずしもこの2つの物理量の変動は1対1に対応していないことがわかった。 ○孤立波の生成つまり物理空間での局在化は、フーリエ空間では逆に波動エネルギーが多くの波数モードへとカスケードすることに対応する。「3波共鳴組多体系」モデルを用いて、このエネルギー(あるいは波動の作用)の流れを局所的な位相相関の時間発展と関連させる定式化を行った。 ○位相相関のあるMHD乱流中での空間拡散について、計算機実験(テスト粒子計算)により解析した。準拡散および超拡散のいずれもが現れることを見出した。
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