Research Abstract |
本研究対象の南極海周辺域堆積物コアは,旧石油公団により採取されたもので,現在保管・管理を,産業総合研究所の地質標本館がおこなっているものである.研究担当者および分担者は,南極海周辺域の古環境変遷の解析のため,これらのコアの一部から古地磁気・岩石磁気用の定方位・定量(定堆積)試料を採取したい旨の申請書を提出し,産業総合研究所において,南極半島西側・ロス海西縁・ウィルクスランド沖などの8サイト15本のコアから,可能な限り連続的に,約2400個の7cc定方位プラスティックキューブサンプルを採取した.このコアはくは20年以上前に採取されたものであるが,比較的保存状態が良く,乾燥していないものが多かった.採取した試料は,厳重に密閉し,冷蔵保存した.本年度はそのうち1本のコアについて,測定条件を決定するために,試験的に交流消磁テストをおこなった.その結果,試料である堆積物の自然残留磁化は安定であり,古地磁気用試料として解析しうることが判明した.また,帯磁率・非履歴性残留磁化・飽和常温残留磁化・帯磁率異方性などの測定もおこない,これらの岩石磁気物性からも,古環境変動解析に有益なデータが得られると,判断した.これらの測定は,大東文化大学・東洋大学,および,京都大学にておこなった.京都大学では超伝導磁力計を使用させていただき,自然残留磁化などを測定した.東洋大学では,試験研究として他地域の試料を用いた振動型磁力計などによるヒステリシス特性解析をおこない,次年度の研究条件を整備した.同様に,今回,本実験をおこなうために,パルス型磁力計を大東文化大学に導入し,帯磁率・非履歴性残留磁化・飽和常温残留磁化は大東文化大学で測定した.以上の試験研究を経て,次年度は他のコアすべてについて,同様の古地磁気解析・岩石磁気物性解析をおこなう予定である.
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