Research Abstract |
本研究対象の南極海周辺域堆積物コアは,旧石油公団により採取されたもので,現在保管・管理を,産業総合研究所の地質標本館がおこなっているものである.研究担当者および分担者は,南極海周辺域の古環境変遷の解析のため,昨年度に引き続き,これらのコアの一部から,産業総合研究所において,南極半島東側・クイーンモードランド沖などの8本のコアから,可能な限り連続的に,約2000個の7cc定方位プラスティックキューブサンプルを採取した.昨年採取したコアと共に,試験的に交流消磁テストをおこなった結果,試料である堆積物の自然残留磁化は安定であり,古地磁気用試料として解析しうることが判明した.そこでこれらの試料について,交流消磁をおこない,自然残留磁化をもとめ,さらに,初期帯磁率・非履歴性残留磁化・各種等温残留磁化・帯磁率異方性,磁気ヒステリシス特性,極低温磁気特性などの測定をおこなった.これらの測定は,高知大学海洋コア総合研究センター,同志社大学工学部,および,京都大学人間環境学研究科にておこなった.それらの測定値から,自然残留磁化を測定したところ,昨年度採取した2600試料については,安定した再現性のよい自然残留磁化を得ることができ,自然残留磁化と非履歴性残留磁化から求めた相対的古地球磁場強度を用いて,コア間の対比ができることが判明した.さらに,各種等温残留磁化や非履歴性残留磁化や初期帯磁率から求めたパラメーターが,明確な変化をすることが判明した.一方,これらのコアに含まれる磁性鉱物は磁鉄鉱を含むことが判明した.次年度は,さらに解析を続行し,他のデータとも比較し,氷床の消長との関連などについて解析をおこなう予定である.
|