2003 Fiscal Year Annual Research Report
生物攪拌作用に魚類の摂食活動が及ぼす影響とその地史的意義に関する研究
Project/Area Number |
15540447
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小竹 信宏 千葉大学, 理学部, 助教授 (00205402)
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Keywords | 生物攪拌作用 / エイ類 / 生痕化石 / 摂食活動 / Piscichnus waitemata / 進化 |
Research Abstract |
平成15年度は,エイ類の摂食活動によって形成されたことが既に判明している生痕化石 Piscichnus waitemataに焦点を絞って研究を行った.とりわけP.waitemataが多産する中期中新世の浅海層のうち,沖縄県与那国島の八重山層群と島根県浜田市近郊の唐鐘層を主たる検討対象とし,現地において形態の記録と計測および産状の観察を行った.八重山層群では,産出する生痕化石のサイズ計測を行い,堆積環境の違いによって形態に違いが生じることが判明した.これは,地層に保存される際の保存ポテンシャルの違いが堆積環境の違いによって生じ,それが形態の違いに反映されたものと解釈した.唐鐘層においては,特定の層準に見られる皿状およびレンズ状の貝殻密集部がエイ類の摂食活動にともなう攪拌現象の産物であることを指摘した.そしてさらに,エイ類の摂食活動が堆積物表層部の攪拌現象に質・量ともに極めて大きな影響を及ぼしている可能性を指摘した.さらに,宮崎県都井岬に分布する古第三系下部漸新統日南層群の一部からP.waitemataを発見した.これまでこの生痕化石は,中生代白亜紀後期から出現が知られてきたものの,産出地層年代は新生代に限られていた.今回,古第三紀漸新世の浅海層からこの生痕化石を発見したことは,世界で初めてのことであるとともに,エイ類の摂食行動の進化過程および堆積物表層部の攪拌現象の地史的変化過程を知る上で極めて重要な意義を持つと判断される.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小竹信宏, 近藤康生, 藤井隆志, 芝崎晴也: "島根県浜田市北部の中部中新統唐鐘累層畳ヶ浦砂岩部層に見られる特異な貝殻密集産状の古生物学的・生痕学的解釈"地質学雑誌. (印刷中).
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[Publications] 藤岡導明, 小竹信宏: "テフラ鍵層に基づく房総半島の上総層群大田代層・梅ヶ瀬層と豊房層群加茂層との対比"第四紀研究. 42・6. 375-387 (2003)
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[Publications] 亀尾浩司, 斎藤敬二, 小竹信宏, 岡田誠: "房総半島南端,千倉層群下部の石灰質ナンノ化石に基づく本邦中部太平洋側の後期鮮新世表層海洋循環"地質学雑誌. 109・8. 478-488 (2003)