2005 Fiscal Year Annual Research Report
新生代二枚貝化石の穿孔捕食痕の時代的変遷-エスカレーションの検証に向けて-
Project/Area Number |
15540450
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
天野 和孝 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50159456)
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Keywords | 穿孔捕食痕 / 新生代 / 二枚貝 / 時代的変遷 / エスカレーション |
Research Abstract |
研究計画に沿い,エゾタマキガイ(Glycymeris yessoensis)の穿孔捕食痕の時代的変遷をまとめ,国際誌(Palaios)に受理された.また,その成果を日本古生物学会で発表した.さらに,エゾシラオガイ(Tridonta borealis)と化学合成群集の予察的な検討を行い,下記のような成果が得られた. 日本で最古の記録と思われるエゾシラオガイは5.1Ma(F.T.年代;Uozumi et al., 1986)の北海道厚賀層の標本である.しかし,この標本については検討できておらず,鮮新世後期については秋田県笹岡層,更新世前期については新潟県沢根層と北海道瀬棚層,更新世中期については秋田県鮪川層の標本を検討した.その結果以下のことが明らかとなった.1 更新世前期の新潟県沢根層と北海道瀬棚層の穿孔率を比較すると南方の沢根層では0.53と高く,瀬棚層では0.13と低い.2 鮮新世後期の笹岡層で上記の範囲を超えて0.07という低い穿孔率が見られた.一産地なので何ともいえないが,エスカレーションを反映している可能性があり,厚賀層の検討が待たれる.3 不完全痕は時代を通じて見られる.4 穿孔痕の位置は30個体以上採集された沢根層では後端中部,腹縁中央に多く見られ,鮪川層では後端中部,殻中央部,腹縁中央に多く見られた.5 殻縁穿孔痕は更新世前期の瀬棚層と中期の鮪川層に見られ,鮮新世の笹岡層からは見られなかった.6 捕食者と被食者のサイズ分布の相関係数はエゾタマキガイと同様に更新世前期の沢根層で比較的高く(R=0.550),更新世中期の鮪川層ではR=0.373と低い値をとる. 化学合成群集の捕食痕についても検討し,北海道の始新統幌内層から産出したオウナガイ(Conchocele bisecta)化石に穿孔捕食痕を認めた.
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Research Products
(3 results)