2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540456
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
草場 啓治 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60186385)
|
Keywords | 硫黄 / 高温高圧 / 放射光 / 放射光 / 相転移 |
Research Abstract |
硫黄の室温高圧挙動は、その場観察法による研究で明になってきている。一方、硫黄の高温高圧挙動に関しては、従来から回収実験法により多くの研究がなされているにも関わらず、互いの実験結果にあまり整合性がなく、その概要すら解っていない。このように、元素単体の高温高圧挙動が未だに不明な例はあまり多くない。特に、26番の鉄より軽元素でかつ偶数番の兀素で、ここまで高温高圧挙動が木明な元素はほとんどない。 そこで本研究では、放射光X線を用い硫黄の高温高圧挙動をT<900℃,P<17GPaの範囲でその場観察した。その結果、この温度圧力範囲で、常圧相と融体の他に3種類の高圧相を見い出し、それぞれの安定域を確定した。各高圧相に関して現在までに明らかになっていることを以下にまとめる。 圧力3-7GPaの条件で昇温した場合、高圧相1が出現した。観測された粉末X線パターンから、この構造は六方晶に属し、単位格子中に9個の硫黄原子が含まれることがわかった。 圧力領域7-14GPaで昇温すると、高圧相2が見い出された。この高圧相2はS_6環状分子からなる六方晶硫黄として説明できた。常圧相と高圧相2の分子構造から明らかなように、この相転移に伴い、S_8環状分子は開環反応を起こしS_6環状分子に組み変わっている。また減圧時の測定から、六方晶のc軸方向が圧縮されやすいという異方的圧縮挙動も明らかとなっている。 15GPa以上の圧力領域で昇温した場合さらに別の相が観察された。この高圧相3の回折パターンは正方晶で説明可能ではあるが、詳細は不明である。
|