2004 Fiscal Year Annual Research Report
マントル条件下での融体・ガラス・ゲルの構造転移と局所構造変化
Project/Area Number |
15540460
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉朝 朗 熊本大学, 理学部, 教授 (00191536)
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Keywords | マントル条件温度圧力 / 優体の構造 / ガラスの構造 / ゲルの構造 / 構造転移 / 局所構造の圧力変化 / 配位数の圧力変化 / EXAFS法 |
Research Abstract |
本研究では、地球・惑星内部の高圧力・高温条件下で融体やガラス、ゲルの特定種類原子の周りの局所構造を原子レベルで明らかにするため、X線吸収微細構造(EXAFS)測定実験を行った。その場観察による測定から、回折法により構造の全体像を、EXAFS法により特定種類原子の周りの局所構造をそれぞれ解析し、各種分光法や分析法によるキャラクタリゼーションも同時に行い、総合情報を得た。 ガラス、ゲルのみならず、融体も構造や組成により、相転移点が定義できるような急激な構造変化を起こすものがある。Li2O・nGeO2やSrGeO3組成の融体では0.5GPa以下の狭い範囲で局所構造変化が起こる。ケイ酸塩のように融体に明瞭な構造を持つ物は、急激な構造変化を起こすことが推測され、我々の技術で今後いろいろな系でも観測できると期待している。精密解析により決定されたDebye-Waller因子から、構造中の原子のゆらぎについて重要な情報が得られる。Debye-Waller因子は熱振動のような動的なゆらぎの効果と原子配列の秩序無秩序性のような静的なゆらぎの効果とを内在しており、Debye-Waller因子の温度変化などを観測することで、動的な効果と静的な効果を分けることができる。動的な効果から熱振動の原子間ポテンシャル、Debye温度、グリューナイゼン常数のような物質固有の常数が決定できる。静的なものから構造クラスターや熱履歴のような各物質個体により異なる量などの情報が得られる。それぞれ、熱や電子、イオンの拡散や機械的性質などの性質と対応させることができる。高温領域では、熱振動の非調和性が顕著に現れる。実験から有効ポテンシャルV(u)=au^2/2+bu^3/3!+cu^4/4!(a,b,cがポテンシャルパラメーター、uは平衡位置からのずれ)が決められる。このポテンシャルパラメーターから、グリューナイゼン常数や熱膨張係数、確率密度分布など重要な値がもとまり、定量的測定が行えることを示した。
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Research Products
(7 results)