2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤村 勇一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90004473)
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Keywords | 分子モーター / キラリティー / 量子制御 / コヒーレント制御 / キラル分子 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
平面偏光のレーザー光によって駆動されるキラル分子モーターの構築理論を確立することが本研究の主目的である。平面偏光の光は物質を回転させる力をもっていないにもかかわらず分子モーターができる。昨年度の研究において、アルデヒド基がエンジン部位であるキラル分子を取り上げた。回転機構として、平面偏光紫外部・UV光励起レーザーのポンプーダンプ型の照射によるモーターの場合、電子励起状態を経由する回転波束生成にあることを明らかにした。すなわち、アルデヒド基とUVレーザー電場の双極子相互作用により、回転波束を電子励起状態に生成し、この回転波束が電子基底状態にダンプパルスによって移動され直感的方向(非対称ポテンシャルのゆるい曲面の方向)に回転が生じる。 今年は、これまでの研究成果をもとに次の3点を研究課題とした、1)回転方向の制御:任意のキラル分子モーターにおいて、平面偏光レーザーによって、回転方向を直感的、あるいは、非直感的方向に回転を制御する方法を開発する。2)回転制御方法をより大きい分子集合系に適用する。3)分子骨格の回転ではなく、分子内電子の一方向回転制御理論も構築する。 第1の課題に関しては、最適制御理論を用いることで、任意の方向に回転を生成させるレーザーの電場を得ることが出来た。制御された電場により回転波束の位相がπだけ変化させることにより回転方向を選択できる。 第2の課題に関しては、赤血球をモデルとして、今年度は、レーザー強い電場との分極相互作用によって赤血球が変形することを数値シミュレーションにより示した。第3の課題に関しては、制御レーザー電場により、キラル共役分子のπ電子を右左に超高速で回転させるための基礎理論を構築した。
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Research Products
(6 results)