2005 Fiscal Year Annual Research Report
試料回転軸切り替え方式NMR法による14Nスピンの高分解能NMRスペクトル測定
Project/Area Number |
15550007
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Research Institution | The UniversityofElectro-Communications |
Principal Investigator |
桑原 大介 電気通信大学, 機器分析センター, 助教授 (50270468)
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Keywords | 14Nスピン / オーバートーンNMR |
Research Abstract |
今年度前半は,"DAS NMRプローブ試料回転軸切り替えシステム"の再構築を行った.しかしながら,目標とした10kHzを越える試料回転周波数の実現には至らなかった.これは,試料回転軸切替が回転周波数をかなり変動させ,安定した試料回転を阻害するためであった. そこで,試料回転軸切替システムからの方向転換を行うことを試みた.幾つかの理論的考察を行った結果,普通のmagic角試料回転の下で,多結晶試料のオーバートーンNMRを間接的に測定することにより,本研究の目標を実現できるのではないかという考えに至った.固体NMRのフィールでにおいてはこれまでに,半整数スピンのサテライト遷移を,中心遷移を使って間接的に測定することが行われている.そしてそれにより固体試料に含まれた^<23>Na核(スピン3/2)の分解能向上が実現されている.そこで我々は,^<23>Na核のオーバートーン遷移を誘発するラジオ波を照射してから中心遷移を観測する実験について理論的に検証した.その結果,オーバートーン照射を色々なラジオ波周波数で行い,照射した直後に中心遷移の共鳴線を観測して,共鳴線強度を周波数に対してプロットすれは,^<23>Na核の固体高分解能NMRスペクトルが観測できることが分かった.その研究成果はChemical Physics Lettersに学術論文として掲載され,レフリーから高い評価を受けた. ^<23>Na核で有用性を実証できたこの手法は,スピン1の^<14>N核にもそのまま適用することができる.よってオーバートーンNMRの間接測定は,^<14>Nスピンの分解能を飛躍的に向上させることは確実である.現在,^<14>N共鳴周波数と^<14>Nオーバートーン共鳴周波数の両方の電磁波を受け入れて実験することができるように,magic角試料回転プローブを改造しているところである.
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Research Products
(1 results)