2004 Fiscal Year Annual Research Report
一重項酸素分子の電子常磁性共鳴法による直接検出と新しい定量法の開発
Project/Area Number |
15550009
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Research Institution | National University Corporation Yokohama National University |
Principal Investigator |
八木 幹雄 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00107369)
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Keywords | 一重項酸素分子 / 活性酸素 / 電子常磁性共鳴 / 光増感反応 / エネルギー移動 / 励起状態 |
Research Abstract |
1.一重項酸素分子の効率的な生成方法の検討 一重項酸素分子の発生方法としては,光増感反応を利用した。増感剤の選択は重要で,適切な増感剤を選択しないと電子常磁性共鳴(EPR)信号は全く得られない。一重項酸素分子のEPR信号観測に成功した増感剤は,現在のところベンゾフェノン,ナフタレン,1-フルオロナフタレン,オクタフルオロナフタレンである。最もS/N比が良好なEPRスペクトルが得られる増感剤はオクタフルオロナフタレンであるが,さらに効率よく一重項酸素を発生させるためには,より適切な増感剤を検索することが必要である。 2.一重項酸素分子のEPRによる定量法の開発 光増感反応,マイクロ波放電,化学的方法のいずれの方法を用いて生成した一重項酸素分子においても,その濃度を定量することは一般に困難である。本研究においては基底三重項酸素分子のEPR信号が一重項酸素分子と同時に観測される点に着目し,全酸素分子の分圧から一重項酸素分子の分圧を求める方法を開発した。比較的低い圧力で三重項増感剤にオクタフルオロナフタレンを用いると,基底三重項酸素のEPR信号強度が光照射とともに減少し,同時に一重項酸素の信号が立ち上がることが確認された。このことは,全酸素分子の何パーセントが一重項酸素分子に変換されたかをEPRから精度良く見積ることが可能であることを示している。1kWの水銀-キセノン灯を励起光に用いた場合,全圧0.3Torrにおいて全酸素分子の約40%を一重項酸素分子に変換できることが分かった。 圧力計で直接測定される量は酸素分子と増感剤の分圧の和である。増感剤を含まない酸素ガスを用いてEPR信号強度の検量線を作成することにより,酸素分子の分圧を得た。これらのことは,定量的検出方法としては赤外発光検出法などの他の手法に比較してEPR法がより適切な方法であることを示している。
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Research Products
(3 results)