2003 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴ラマン分光法によるヘム酵素活性部位ヒスチジン側鎖の構造化学的研究
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15550021
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
橋本 慎二 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (50192696)
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Keywords | ラマン分光法 / 遠位ヒスチジン / ペルオキシダーゼ / 水素結合 / 酵素 / ヘムタンパク質 / 構造活性相関 / 酸素活性化 |
Research Abstract |
1.西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の紫外共鳴ラマンスペクトル 本研究代表者は、以前、シアンを配位させたHRPとnative HRPの紫外共鳴ラマン差スペクトルを測定することにより、プロトン化した遠位ヒスチジンのバンドを検出している。この帰属を確かめるために、遠位ヒスチジンを部位特異的変異導入法によりグルタミンに置換したHRPについて測定したところ、遠位ヒスチジンに帰属したバンドが消失したため、その帰属が確認された。また、シアン同様、フッ化物イオンを配位させても、遠位ヒスチジンがプロトン化される事も、紫外ラマン測定の結果明らかとなった。この場合、ピークは2つに分裂しており、水素結合状態が異なる遠位ヒスチジシが2種類存在することが示唆された。 2.ヒスチジンモデル化合物を用いた水素結合マーカーバンドの探索 ヒスチジンのモデル化合物である4-メチルイミダゾールを種々のプロトン受容性溶媒に溶かしてスペクトルを測定し、水素結合状態を反映するバンドを検索した。その結果、N重水素化したイミダゾリウム環のN-C-N対称伸縮バンドの波数は、水素結合が強くなると低波数側にシフトすることが確かめられた。これより、シアンやフッ化物イオンが配位したHRPでは、結合配位子との水素結合状態の異なる酵素が存在することが明らかとなった。また、低障壁水素結合を形成している4-メチルイミダゾールのラマンスペクトルを測定したところ、プロトン化型と脱プロトン化型の中間的な波数にバンドが認められた。これは、水素結合が非常に強いと、バンドシフトが大きく、脱プロトン化型のスペクトルに近くなる事を示唆しているが、この結果については、今後、再現姓も含め十分に検討する必要がある。
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