2004 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴ラマン分光法によるヘム酵素活性部位ヒスチジン側鎖の構造化学的研究
Project/Area Number |
15550021
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
橋本 慎二 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (50192696)
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Keywords | ヘムタンパク質 / 紫外共鳴亜ラマン / ペルオキシダーゼ / 酸素活性化 / 過酸化水素 / ヒスチジン / 構造機能相関 / 振動スペクトル |
Research Abstract |
西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の活性部位に存在する遠位ヒスチジン残基は、この酵素の活性発現に必須のアミノ酸残基である。この研究では、活性部位、特に遠位ヒスチジンの構造と酵素機能との関連について明らかにすることを目的としている。報告者は紫外共鳴ラマン分光法により、シアン配位HRPの遠位ヒスチジンのスペクトルを測定できることを見いだしている。その結果によると、遠位ヒスチジンには、強く水素結合を形成したものと弱く水素結合を形成したものの2種類が存在する。可視ラマンの結果においても、シアンの配位様式にはlinear formとbent formの2種類があることがわかっている。また、赤外スペクトル測定より、配位シアンのCN伸縮振動にも2成分あることが分かっている。しかし、各成分がおのおのどのように対応するかについては分かっていなかった。HRPのアイソザイムの一つである、アイソザイムAについて調べると、アイソザイムCと比較してこの2つの成分比が変化していることが分かった。この成分比の変化より、linear formでは配位シアンは遠位ヒスチジンと強く水素結合しており、この化学種の存在比は少ない。一方、bent formでは配位シアンは遠位ヒスチジンとは強く水素結合しておらず、アルギニン側鎖と強く水素結合していると考えられる。この結果、アルギニン側鎖とリガンドとの水素結合が酵素活性の発現に重要であることが示唆された。また、HRPAでは、アルギニン側鎖近傍の構造がHRPCと異なっていることも示された。
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