2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550027
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石井 昭彦 埼玉大学, 理学部, 助教授 (90193242)
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Keywords | スルフェン酸 / チオセレネン酸 / セレノセレネン酸 / セレノール / ジセレニド / トリセレニド / トリプチシル基 / 加水分解 |
Research Abstract |
1.トリプチセン-9-セレノセレネン酸(Trip-Se-Se-H)の合成検討 (i)まず,Se-9-トリプチシル=トリプチセン-9-セレノセレニナート[Trip-Se(O)-Se-Trip]とセレノカルボン酸[RC(O)SeH]との反応によりTrip-Se-Se-C(O)Rを合成した。置換基Rとしてはp-トリル基およびベンジル基のものを合成した。これらの加水分解を酸性および塩基性条件でおこなったところ,生成比は異なるが,主としてセレノール(Trip-SeH)およびトリセレニド(Trip-Se-Se-Se-Trip)が生成した。Trip-SeHおよびTrip-Se-S-HとTrip-Se-Se-C(O)Rの反応ではそれぞれジセレニド(Trip-Se-Se-Trip)およびTrip-Se-S-Se-Tripが生成することが確かめられたことから,Trip-Se-Se-Se-Tripの生成は目的のTrip-Se-Se-Hが中間に生成したことを示唆している。 (ii)セレノール(Trip-SeH)のアニオン(Trip-Se^-)に単体セレンを反応させ,次いでヨウ化メチルを加えたところ,Trip-Se-Se-Meが53%の収率で得られた。これはTrip-Se-Se^-の生成を示すが,この反応を酸で停止するとTrip-SeHが回収された。また,セレンの代わりに単体硫黄を用いた場合には,Trip-Se-SHが15%の収率で生成した。 2.新規な置換基の開発 (i)(1-アダマンチル)=t-ブチル=チオケトンを還元し,(1-アダマンチル)-2,2-ジメチルプロパンチオールを合成した。このチオールの直接酸化でスルフェン酸の合成を試みたが,対応するジスルフィドを含む混合物が得られた。また,このチオールから1-(1-アダマンチル)-2,2-ジメチルプロピル=ブチル=スルフィドを合成し,そのスルフィドを酸化して得られるスルホキシドの熱分解によるスルフェン酸の合成を試みたが目的のスルフェン酸は得られなかった。 (ii)(1-アダマンチル)=t-ブチル=チオケトンとメチルリチウムとの反応により,1-(1-アダマンチル)-1,2,2-トリメチルプロパンチオールを合成した。このチオールの直接酸化でスルフェン酸の合成を試みたが,やはりスルフェン酸は得られず,2-(1-アダマンチル)-3,3-ジメチル-1-ブテンを含む混合物しか得られなかった。またこのチオールから,1-(1-アダマンチル)-1,2,2-トリメチルプロピル=ブチル=スルフィドを合成し,これを酸化して得られるスルホキシドの熱分解を検討した。この熱分解反応では,2-(1-アダマンチル)-3,3-ジメチル-1-ブテンとS-ブチル=ブタンチオスルフィナートが得られた。
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