2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550027
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石井 昭彦 埼玉大学, 理学部, 教授 (90193242)
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Keywords | 9-トリプチシル基 / ジセレノラート塩 / トリセレニド / ジセレニド / 加水分解 / セレノセレネン酸 |
Research Abstract |
トリプチセン-9-セレノセレネン酸(Trip-Se-Se-H)の合成を以下のように検討した。 1.トリプチセン-9-セレノセレネン酸のアニオン,すなわち,Trip-Se-Se-の調製を検討した。対応するセレノール(Trip-SeH)のテトラヒドロフラン溶液にt-ブチルリチウムを加えてセレノラート塩とし,ついで等モル量の単体セレンと反応させた。その溶液にヨウ化メチルを加えたところ,主生成物はジトリプチシル=トリセレニド(Trip-Se-Se-Se-Trip)であったが,メチル=トリプチシル=ジセレニド(Trip-Se-Se-Me)が30%程度の収率で生成した。この結果から,低収率ながらこの方法によりTrip-Se-Se-が調製できることを確認した。用いる塩基(水素化ナトリウムやDBUなど),溶媒(ベンゼン),添加物(テトラメチルエチレンジアミン),反応温度(0℃または室温)について条件検討を行ったが,そのジセレニドの収率が大きく向上することはなかった。 2.次にTrip-Se-Se-の捕捉剤として塩化p-トルオイルを検討したところ,対応するジセレニド,Trip-Se-Se-C(O)-p-Tolが20%の収率で得られた。また,塩化ベンゾイル,塩化アセチルを用いた場合も対応するジセレニドである,Trip-Se-Se-C(O)Ph,Trip-Se-Se-C(O)Meが得られた。塩化トリフェニルスズも検討したが,Trip-Se-Se-SnPh_3は現在のところ得られていない。 3.アセチル=トリプチシル=ジセレニド(Trip-Se-Se-C(O)Me)の酸加水分解をジクロロメタン-エタノール中,過塩素酸を用いて40℃で行った。その結果,Trip-Se-Se-Se-TripとTrip-SeHが1:1の比で生成した。Trip-Se-Se-Se-Tripは目的のTrip-Se-Se-Hの脱セレン化水素を伴う二量化反応,Trip-SeHはTrip-Se-Se-Hの脱セレンにより生成したと考えられる。
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