2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝田 育也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10196420)
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Keywords | インジウムヒドリド / 還元的アルドール反応 / トリエチルシラン |
Research Abstract |
インジウムヒドリドはエノンを共役還元し、インジウムエノラートを発生する。この反応はアルデヒドが存在下でもアルデヒドに影響を与えない。そこでシリルヒドリドの持つ酸素との強い親和力を利用して、インジウムヒドリドによる触媒的な還元的アルドール反応を行った。10mol%の臭化インジウム触媒を用いて検討を行った結果、これまで反応性が低いため利用することができなかったトリエチルシランを水素源として用いることができ、THF溶媒では全く反応は進行しないが、ニトリルに溶媒に代えることで還元的アルドール反応が効率良く進行した。インジウム-トリエチルシラン系における金属交換を確認するために、アセトニトリル中、NMR測定を行った。^1H-NMRにおいて3.6ppm付近にあるトリエチルシラン由来のヒドリドピークが消失し、6.6ppm付近に新たなピークが現れた。これによりインジウム-トリエチルシラン系においてケイ素-インジウム間での金属交換がおこり、インジウムヒドリドが発生していると考えられる。芳香族エノンを基質に用いると良好な収率で反応が進行した。また、高いシン選択性を得ることができた。興味あることに本系ではトリブチルスズヒドリドによって発生させたインジウムヒドリドで問題となっていたアルデヒドの還元はこの系では全く起こらなかった。さらに本系の大きな特徴として、いままで困難であった求電子性の低い脂肪族アルデヒドを用いても高い収率で還元的アルドール反応が進行したことがあげられる。脂肪族エノンでも良好な結果を得ることができ、基質の適用範囲が大幅に広がった。
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