2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミズクラゲ型大環状分子フラスコの創製とその分子フラスコ内における高効率反応
Project/Area Number |
15550039
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西野 宏 熊本大学, 理学部, 教授 (50145281)
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Keywords | 分子フラスコ / カゴ状大環状化合物 / 分子間ラジカル環化反応 / 分子内ラジカル環化反応 / 酢酸マンガン(III) / 酸化的ラジカル反応 / シクロファン型マクロジオリド類 / 1,3-ジカルボニル化合物 |
Research Abstract |
生体内のタンパク質合成反応場は三次元的な空間であり、水素結合やπ電子相互作用および空間的立体反発などをうまく利用した生体フラスコを提供している。そこで、生体内のタンパク質上で行われている高効率型化学合成を、人工的に作った分子フラスコ(=カゴ状大環状化合物)内でも効率的に行なわせることができるかという発想の基に、平成15年度に続き平成16年度も我々が開発したオリジナルの合成法で分子フラスコに相当する大環状化合物の合成を検討した。 1.原料の芳香環を含むメチレン鎖およびメチレンエーテル鎖で末端の1,3-ジカルボニル基をつないだビスおよびトリス(1,3-ジカルボニル)化合物を、相当するフェノール類とクロロアルカノール類やクロロアルキルアミン類とジケテンとの反応から合成した。また、反応基質である1,ω-アルカジエン類は、アリールマグネシウムブロミドと脂肪族飽和ジカルボン酸エステルとの反応から合成した。 2.我々が開発した1,3-ジカルボニル化合物と末端ジエン類の酢酸マンガン(III)による分子間および分子内ラジカル環化反応を利用した大環状化合物の合成反応は、反応温度や圧力、溶存酸素などの反応条件が生成物の収率に大きく影響するので、平成15年度に続き次の反応条件を検討し、カゴ状大環状化合物生成の最適化を検討した。 (1)反応温度はマンガン(III)錯体のラジカル反応を考慮し、高温(140,100,80℃)と室温(20,30℃)を設定した。 (2)本反応ではアルゴン雰囲気下を用いた。 (3)カゴ状大環状化合物の生成に関してtemplate効果と外気圧の関係を調べるために、オートクレープ(15kg/cm^2〜200kg/cm^2)中での反応を検討した。 (4)この反応の濃度依存性を検討した。 3.ビスおよびトリス(1,3-ジカルボニル)化合物のスペーサーの長さとカゴ状大環状化合物生成の関係を詳しく検討し、最大何員環までのシクロファン型マクロジオリド類が本ラジカル反応で合成可能かを調べた。 4.以上の実験から、合成された1,3-ジカルボニル化合物と末端ジエン類の反応の条件はアルゴン雰囲気下、希釈条件で100℃が最も良く、最大で50員環までの大環状化合物が収率良く合成できた。また、いずれの反応からも二倍体に相当する化合物が副生することもわかった。さらに、平成16年度には24員環の新規マクロジオリドも合成した。
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Research Products
(6 results)