2004 Fiscal Year Annual Research Report
多次元非線形最適化手法による多中心f電子構造の研究
Project/Area Number |
15550046
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 直人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20251605)
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Keywords | f電子 / 希土類 / 多核 / 錯体 / 動的磁性 / 単分子磁石 / フタロシアニン / 電子構造 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、磁化率の温度変化とNMR常磁性シフトを解析することにより同一構造を持つ一連のf^8〜f^<13>希土類錯体群の基底多重項副準位構造と配位子場パラメータを多次元最適化手法を用いて決定する手法を用い、4f電子系の電子構造と静的・動的磁性について研究を行った。 (1)昨年度に三画対称軸を持つ典型的な希土類錯体であるトリスジピコリナト希土類錯体[Ln(dipic)_3]^<3->(Ln=重希土類)の配位子場パラメータ、基底多重項副準位構造を決定した。この錯体群について、動的分子磁性を研究するために交流磁化率測定を行った。その結果、直流磁場がない場合はすべての重希土類錯体で磁化の遅れは無かったが、直流磁場かでの測定では、4f電子個数が奇数であるKramers系の錯体のみに磁化の遅れが生じることを発見した。この現象について、上の副準位構造を基に説明できることがわかった。この成果は2005年日本化学会春期年会にて発表した。 (2)フタロシアニン三層型二核Tb錯体の動的磁性について昨年に引き続き研究した。[Tb,Tb]では交流磁化率の直流磁場依存性が小さいが、[Tb,Y]と[Y,Tb]では直流磁場強度を大きくすると交流磁化率虚数成分が極大値をとる温度が上昇することがわかった。また、[Tb,Tb]で観測された特異な形状をもったCole-Coleプロットをf-f相互作用を考慮に入れた変動磁場に対する応答のシミュレーションによって説明することができた。これらの成果は2004年錯体化学討論会、2004年化学会年会にて発表した。
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Research Products
(5 results)