2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550065
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中田 隆二 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (80143931)
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Keywords | エレクトロスプレーイオン化 / 質量分析法 / イオン会合平衡 / モリブドリン酸錯体 / 酸化還元滴定 |
Research Abstract |
エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析法(MS)を測定手段とし,溶液内各種反応を観測する目的でいくつかの系について検討したが,ここでは,1)非水溶媒中におけるジアンモニウム塩(MX_2)のイオン会合平衡のESI-MSによる観測,2)モリブドリン酸錯体の生成ならびに還元過程のESI-MSによる観測と,酸化還元滴定による還元電子数の見積もり,について報告する。 1)に関しては,MX_2塩の電気伝導度測定により,アセトニトリル中におけるイオン会合(M^<2+>+X^-→MX^+)平衡定数を定量的に求め,ESI-MSによって得られた二価イオン(M^<2+>)と一価イオン(MX^+)のピーク比との関係について,各イオンの疎水性に基づき議論した。さらに,塩濃度やイオン化時の脱溶媒温度の影響についても調べた結果,濃度の増大に伴い,会合が促進される傾向が見られた。また,高温加熱により,脱溶媒速度が加速された結果,イオン会合が促進される傾向も見られた。より定量的な考察を加えるため,次年度は,イオンスプレーの位置を可変とし,MSへの導入条件の影響についての検討も考えている。次に2)に関しては,生成した黄色モリブドリン酸錯体を,電解還元も含めた各種還元条件下で青色錯体に還元し,得られた還元体をテトラブチルアンモニウム塩として沈殿分離し,そのアセトニトリル溶液の酸化還元滴定を行うことによって還元電子数を見積もった。と同時に,青色錯体を沈殿分離,あるいは溶媒抽出分離して得られた溶液についてESI-MS測定を行い,得られた結果について,還元電子数の観点から比較検討した。現時点では,これら二つの結果は定量的に対応しているとは言えない。その理由の一つは,複数の化合物の存在であり,次年度,それらのクロマト的分離法の確立も含めた検討を考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 沖 久也, 澤田育美, 吉村幸絵, 中田隆二: "Preparation and Stereoselectivity of [Cr(L-Amino Acidato)2(L-Amino Acidato-N)(H2O)]"Synthesis and Reactivity in Inorganic and Metal-Organic Chemistry. Vol.33, No.5. 837-846 (2003)