2004 Fiscal Year Annual Research Report
触媒反応を利用する超微量金属成分の状態分析システムの開発
Project/Area Number |
15550066
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川久保 進 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (90143958)
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Keywords | 銅イオン / 触媒反応 / 接触定量 / フミン酸 / 蛍光定量 / 状態分析 / 流れ分析 |
Research Abstract |
1.状態分析システムの構築 触媒反応を利用して反応性銅を流れ分析する場合、流路として使用したテフロン細管の内壁に銅が吸着損失して分析感度が著しく低下したので、反応試薬等を独立した流路でセルに送る方式を採用した(前年度研究)。しかし、測定を繰り返すと徐々に損失が見られるようになったので、損失を防ぐ方法を検討し、アルミニウムの添加によって防ぐことに成功した。本測定システムでの反応条件、反応温度の制御、全自動化についても検討した結果、分析時間10分、定量誤差1ng/mlで銅が定量できるようになった。次に、蛍光測定に基づくフミン物質の測定機能を上述の銅の測定システムに組み込んだ。フミン酸としてフミン物質を定量する場合、銅のような吸着損失の影響が見られなかったので、フローインジェクション方式で測定できた。本システムにより、フミン物質は、銅と同時に測定でき、フミン酸として定量した場合、定量誤差10ng/mlで200ng/mlまで定量できた。本研究では、さらに銅全量の測定システムを組み合わせる予定であったが、フミン物質を測定した流れを原子吸光分析装置などに導けば測定可能と思われたので、この段階で実際試料へ応用し、本システムの有用性を確かめることにした。 2.実際試料への応用 フミン酸の存在状態がある程度推定できる擬似河川水(Cu-フミン酸-Fe-Si溶液)を試料として、アルミニウムを添加したときの銅とフミン酸の濃度の経時変化を本分析システムを使って調べ、それらの状態分析を試みた。アルミニウムの添加によって銅とフミン酸の濃度は時間とともに減少した。アルミニウムイオンがフミン酸を凝集させ、それにより凝集体内部のフミン酸からの蛍光は測定できなくなり、同時に銅も内部に取り込まれ反応性を失うことが示唆された。アルミニウムイオンと大過剰のフッ化物イオンを添加した場合についても同様の状態分析を試みた。
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