2003 Fiscal Year Annual Research Report
固相誘導体化を用いる極性有機化合物の効率的前処理法の開発
Project/Area Number |
15550070
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 稔 大阪大学, 保全科学研究センター, 教授 (60029238)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角井 伸次 大阪大学, 保全科学研究センター, 助手 (30252604)
|
Keywords | 極性有機化合物 / 固相誘導体化 / GC-MS / ペンタフルオロピリジン / フェノール類 |
Research Abstract |
主にアルキルフェノール類を用い2種類の固相での誘導体化検討を行なった。 (1)強アニオン交換固相抽出 アルカリ性にした水試料をシリカおよびポリマーを母体とした強アニオン固相に通水することにより、吸着の検討を行った。シリカ母体の固相はアルカリに不安定なため、フェノレートイオンがほとんど吸着されなかった。一方、ポリマー母体の強アニオン固相(Waters社製、OASIS MAX)には効率よく吸着された。誘導体化は、ペンタフルオロピリジンのヘキサン溶液(10%、2ml)を固相に10分保持し反応させることにより、定量的に進んだ。OASIS MAXを用いた抽出では、吸着にはイオン性相互作用のみならず、疎水性相互作用も重要であることがわかった。 共存するマトリックスの影響を検討するため、中性物質とアニオン性物質(カルボン酸類)の共存下に誘導体化を行ったが、反応は全く影響を受けなかった。詳細に検討した結果、中性物質はアセトンを流すことにより除去され、カルボン酸類は誘導体化されず固相に残ったままであった。したがって、環境試料などの複雑なマトリックスをもつ試料に対しても有効であると期待できる。検出限界は50mlの水試料を用いた場合、アルキルフェノール類で0.88-8.5ng/lと、二相系の結果(6.9-85ng/l)に比べて良好であった。 (2)逆相固相を用いるイオン対固相抽出 固相に予めイオン対試薬を吸着させることにより、上記強アニオン交換固相と同様の働きを期待した。その結果、C18と臭化テトラヘキシルアンモニウムを用いた場合に、フェノレートイオンを最も効率よく吸着させることができた。ヘキシル以上のアルキル基では、水溶性に乏しく取り扱いが困難であった。また、固相にペンタフルオロピリジンのアセトン溶液(0.1%、2ml)を通すだけで、溶出と誘導体化が進み誘導体が定量的に回収できた。
|