2004 Fiscal Year Annual Research Report
電解反応による極性変換-スルホナートを求核剤に用いる炭素-炭素結合生成反応
Project/Area Number |
15550082
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福原 彊 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50238507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正治 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20109490)
仙北 久典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50241360)
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Keywords | 有機電気化学 / 電解合成 / スルホナート / 炭素-炭素結合生成 / 極性変換 / 反応性電極 / 電解還元 / メディエーター |
Research Abstract |
前年度の結果をふまえ、白金陰極、マグネシウム陽極を備えた一室型セル中、0.1MのBu_4BF_4を含むDMFを溶媒として1-ドデカノールのメシラートを定電流電解したところ、メシラートの還元反応に由来するドデカンの他に、加水分解に由来する1-ドデカノールが得られ、メシラートの還元反応が効率的に進行していないことが明らかとなった。様々な検討の結果、反応系内にナフタレンやビフェニルなどの多環芳香族化合物を加えると、メシラートの還元反応が効率よく進行することを見出した。ビフェニル2当量存在下、1-ドデカノールの電解還元を行ったところ反応終了後のGCおよび^1H NMRからはビフェニルとドデカンのみが確認されたが、ドデカンの収率は42%にとどまった。さらに、反応系内に炭素-炭素結合形成を目的としてシクロヘキサノンを加えるとドデカンの収率は53%に向上したものの、目的の炭素-炭素結合形成反応は進行しなかった。また、シクロヘキサノンの代わりに二酸化炭素をバブリングしながら反応を行ったが、メディエーターのアニオンラジカルが二酸化炭素を捕捉したと考えられるカルボン酸が得られるのみで、ほとんどのメシラートが回収された。一方、フッ素原子を有するアルコール由来のメシラートについてもシクロヘキサノン存在下での電解還元反応を行ったが、R_f-CF_2CH_2-OMsおよびR_f-CF_2CH_2CH_2-OMsのような構造を有するメシラートを基質に用いた場合には複雑な混合物を与えるのみで、相当する炭素-炭素結合形成反応による生成物は全く得ることができなかった。 メシラートの電解還元反応によるアルカンへの変換について検討を行ったところ、4当量のビフェニルをメディエーターとして共存させることにより1-ドデカノールのメシレートを60%の収率でドデカンに変換することができた。本手法は、分子内にアルケン、エポキシド、アミドなどの官能基を有するメシラートにも適応でき、50〜60%の収率で相当するアルカンを得ることができる。特筆すべきことに、分子内に水酸基を有するメシラートを用いても、メディエーターがBirch還元タイプの反応によって失活することなく、還元反応が進行することを見出した。この結果を踏まえて、メシラートに対しビフェニル4当量、プロトン源としてt-BuOHを10当量存在下、電解還元を行うと、収率70%で相当するアルカンを得ることができた。 本研究に関連して、脂肪族ケトンと二酸化炭素によるケトンの電解カルボキシル化反応についても検討を行った結果、ケトンのα位に二酸化炭素が導入されたβ-ケトカルボン酸が得られた。鎖状に比べ環状ケトンの方がよい結果を与え、シクロドデカノンでは92%の高収率で相当するβ-ケトカルボン酸を得ることができた。
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