2005 Fiscal Year Annual Research Report
電解反応による極性変換-スルホナートを求核剤に用いる炭素-炭素結合生成反応
Project/Area Number |
15550082
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福原 彊 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50238507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正治 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20109490)
仙北 久典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50241360)
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Keywords | 有機電気化学 / 電解合成 / スルホナート / 炭素-炭素結合生成 / 極性変換 / 反応性電極 / 電解還元 / メディエーター |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき検討を行った。 白金陰極、マグネシウム陽極を備えた一室型セル中、0.1MのBu_4NBF_4を含むDMFを溶媒とし、4当量のビフェニルならびに10当量のt-BuOHを共存させて20mA/cm^2の電流密度で1-ドデカノールのメシラートに対して8F/molの通電を行った。その結果、74%の収率でドデカンを得ることができ、ビフェニルのみを共存させた場合と比べて12%の収率の向上が見られた。本手法を、分子内の適当な位置にアルケン、エポキシド、エステル、エーテル、水酸基、シアノ基などの官能基を有するメシラートに適応したところ、それらの官能基を損なうことなくメシラート部位が選択的に還元され、60〜92%の良好な収率で相当するアルカンを得ることができた。t-BuOHを添加せずに反応を行った場合と比べて9〜31%の収率の向上に成功した。しかし、12-クロロ-1-ドデカノールのメシラートを用いた場合には、塩素原子の還元反応も競争的に進行し、メシラートの選択的な還元は達成できなかった。また、隣接する置換基の影響を調べる目的で1,2-ドデカンジオールの1-メシラート誘導体についても反応を行った。その結果、隣接位にヒドロキシル基を有するメシラートの場合には、O-H結合の還元反応によるアルコキシドの生成が優先し、1-ドデセンオキシドが92%で得られた。一方、隣接位のヒドロキシル基をTHP-およびTBDMS-で保護した基質では、メシラートの還元反応は進行するものの、隣接位の置換基の脱離が進行し1-ドデセンのみを与えた。t-BuOH存在下での反応の場合も、メディエーターであるビフェニルはBirch還元タイプの反応によって失活することなく、定量的に回収し、再利用することができた。一方、フェノールのメシラートを基質とした電解還元ならびにカテコールジメシラートの電解還元によるベンザインの発生についても様々な条件下検討を行ったが、出発物質と加水分解体を得るのみであった。また、反応経路についての検討中に、本反応系がN-トシルグループの効率的な脱保護によるアミンの生成に有効であることも見出した。本研究については更なる検討が必要である。ポリフルオロ化合物の電解カルボキシル化については、よい結果を得ることができなかった。
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