2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビアリール化合物の光ラセミ化および光学活性化に関する研究
Project/Area Number |
15550083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 徹太郎 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (70241536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 壮太郎 福島県ハイテクプラザ, 所長(研究職) (60005501)
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Keywords | アトロプ異性 / 光ラセミ化 / 光学活性化 / 1,1'-ビフェナンスレン / blestriarence C / 酸化還元反応 / 1,1'-ビナフタレン / 芳香族求核置換反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は,(1)軸不斉1,1'-ビナフタレン型天然物(_)-blestriarene Cの光ラセミ化機構を解明すること,(2)本反応の他のビアリール化合物への適用と限界を示すこと,(3)反応を利用するラセミ体ビアリール類の光学分割法,光学活性化法を開拓することである。本年度は(1),(2)に関する検討を行い,以下の知見を得た。 1.blestriarene Cのラセミ化の波長依存性を調べたところ,この化合物自身がHOMO-LUMOの遷移に相当する^1L_b吸収帯の光を吸収してラセミ化していることがわかった。また,窒素下では,ラセミ化の速度は非常に低下し,ラセミ化に酸素が関与していることがわかった。 2.blestriarene Cの4,4'-メトキシ基または7,7'-水酸基がない類縁体を芳香族求核置換反応を利用して合成した。また,より一般的な骨格で大量に合成しやすい1,1'-ビナフタレン類への適用を調べるために,1,1'-ビナフタレン-2,2',4,4'-テトラオール,-2,2',6,6'-テトラオールを酸化カップリングにより合成した。これらを光学分割し光ラセミ化活性を調べたところ,blestriarene Cに比べて非常に低く,1,1'-ビナフタレン-2,2'-ジオールや1,1'-ビフェナンスレン-2,2'-ジオールと同程度であることがわかった。これらの化合物のイオン化ポテンシャルはblestriarene Cに比べて低く,酸化されにくいことが低活性の原因の一つと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Hattori: "Synthesis, Resolution, and Absolute Stereochemistry of (-)-Blestriarence C"J.Org.Chem.. 68・6. 2099-2108 (2003)
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[Publications] N.Morohashi: "Synthesis of All Stereoisomers of Sulfinylcalix[4]arenes"J.Org.Chem.. 68・6. 2324-2333 (2003)
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[Publications] T.Hattori: "Asymmetric Synthesis of ternaphthalenes via an ester-mediated nucleophilic aromatic substitutiion reaction"Tetrahedron : Asymmetry. 15・5. 881-887 (2004)