2003 Fiscal Year Annual Research Report
キラル1,2-ジアミンを含む高分子化デンドリマーを用いる不斉触媒の創製
Project/Area Number |
15550089
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50158755)
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Keywords | 1,2-ジアミン / デンドリマー / 高分子固定化触媒 / 不斉水素化反応 |
Research Abstract |
フェノール性水酸基を分子内に2個有する光学活性1,2-ジアミンを合成し、1,2-ジアミン型キラルリガンドをコア部に有するデンドリマーの合成を検討した。デンドリマー構造の合成には、ベンジルフェニルエーテル型(Frechet型)が合成的にも容易であり、これを採用した。デンドリマーのペリフェラル部位にはビニルフェニル基を導入して、これをスチレン等のアキラルモノマーと共重合を行うために末端にビニルベンジルエーテルを有するベンジルブロミドを合成した。これを1,2-ジアミンのフェノール性水酸基と反応させることで、2つの水酸基にデンドリティックな置換基を導入した。スチレンとの共重合を試みたところ速やかに重合が進行し、キラル1,2-ジアミンモノマーのペリフェラル部のスチリル基が重合に取り込まれることにより、デンドリティックキラル1,2-ジアミン構造を有する架橋高分子を合成することができた。得られる高分子は1,2-ジアミンモノマーに複数の重合性官能基を有するため架橋構造をとり、不溶性高分子が得られる。一方、末端にビニルベンジルエーテルを有するベンジルブロミドを先に懸濁重合することで、ビーズ状の反応性架橋高分子が得られる。これに対する1,2-ジアミンのフェノール性水酸基の反応によっても同様に高分子固定化型キラル1,2-ジアミンが合成できた。これらの高分子化1,2-ジアミンは有機溶媒中で充分膨潤し、不斉触媒のキラルリガンドとして用いることができる。キラルリガンドとしての性能を確認するためにBINAP-RuCl_2錯体を用いて高分子触媒を調整した。ケトンの不斉水素化反応に用いたところ、低分子と同程度の反応性、立体選択性を実現することができた。さらに高分子化触媒はリサイクルが可能であり、数回のリサイクルで触媒の失活はまったく見られなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Tsuji: "Blends of aliphatic polyesters : VII Effects of poly(L-lactide-co-e-caprolactone ) on morphorogy, structure"Polymer International. 52. 269-275 (2003)
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[Publications] S.Itsuno: "Synthesis of enantiopure 1,2-diamine attached to cross-linked polystyrene and its application to insoluble cat"Tetrahedron Lett.. 44. 3825-3828 (2003)
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[Publications] S.Itsuno: "Asymmetric aldol polymerization of bis(triethylsilyl enol ether) and aldehyde"Polym.Bull.. 51. 183-190 (2003)
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[Publications] S.Itsuno: "Preparation of polymer-supported chiral 1,2-diamine as an efficient ligand for asymmetric hydrogenation catalyst"Macromol.Symp.. (in press). (2004)