2003 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素直接挿入型、新規カルボニル化法の創出とチオカーボネート類合成への展開
Project/Area Number |
15550096
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西山 豊 関西大学, 工学部, 助教授 (30180665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 昇 関西大学, 工学部, 教授 (20083983)
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Keywords | 一酸化炭素 / セレン / チオカーボネート |
Research Abstract |
医薬,農薬,潤滑油をはじめ各種化成品として利用されている化合物には、基本骨格あるいは官能基としてカルボチオアルコキシ基(-C(=O)S-)等を有する化合物が多数存在する。これらの化合物の合成ではこのような官能基をどのように構築・導入するかが重要なポイントとなる。そのため、カルボチオアルコキシ基の簡便かつ高効率導入法の開発は合成化学的にも、また有機工業化学的にも極めて重要な研究課題である。従来のカルボチオアルコキシ基の代表的導入法は、まず高温・高圧下(300℃,150気圧)一酸化炭素と元素硫黄をCo_2S_3触媒により反応させ、硫化カルボニルを発生させ、それと種々の求核剤,アルキル化剤等を順次反応させるという多段階合成法が採用されている。 本研究により、セレンを触媒としジブチルジスルフィド(BuSSBu)と一酸化炭素を加圧下で反応させるとジブチルジカーボネートBuSC(=0)SBuが一段で得られるとの結果を得た。また、他のジアルキルジスルフィドを用いても同様の反応が進行し、この反応が一般性を有し、ジアルキルジカーボネートの一段階合成法となることが明らかとなった。 この新しく見出された反応は比較的温和な条件(100℃以下,一酸化炭素50気圧以下)で進み、セレン触媒により硫黄-硫黄のヘテロ原子間結合に一酸化炭素が形式上そのまま挿入され、ジチオカーボネートが一段で生成するという、基礎,応用の両面からみて極めて興味深い新反応である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Nishiyama, N.Sonoda: "A New Synthetic Method of 1,4-Dihydro-2H-3,1-benzoxazin-2-ones : Selenium-Catalyzed Reductive Carbonylation of Aromatic Nitro Compounds with Carbon Monoxide"Synlett. (印刷中). (2005)