2003 Fiscal Year Annual Research Report
α,ω・ジイン類のカチオン性パラジウム触媒による環化-ヒドロシリル化の研究
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15550098
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
山本 經二 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (80025999)
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Keywords | 1-アルキン / α,ω-ジイン / カチオン性パラジウム錯体 / ヒドロシリル化 / ヒドロシラン / hydropalladation / carbopalladation |
Research Abstract |
われわれは、嵩高いリン配位子を含む中性のパラジウム錯体を触媒として、1-アルキン類の選択的な二量化-ヒドロシリル化を開発した。これの発展的研究として、最近、α,ω-ジイン類による分子内版の反応というべき、環化-ヒドロシリル化反応を見出した。この新規な反応は、支持配位子を含まないカチオン性パラジウム錯体を触媒とすることが必須であり、二量化反応ではHSiCl_3のみが適用可能あったが、HSiMe_<3-n>Cl_n(n=1-3)のいずれも反応性があり、室温で容易に進行する特徴を有することが明らかになった。 反応の一般適用性については、4,4-diethoxycarbonyl-1,6-heptadiyne, dipropargyl ether,およびN,N-dipropargyl-p-tosylamideなどを基質として用いると、いずれも(Z)-1-methylene-2-(silylmethylene)-cyclopentane誘導体を生じることを明らかにした。また、これらの5員環形成にとどまらず、1,7-octadiyne,1,8-nonadiyneから対応する6員環、7員環(今は収率に難点がある)も形成できることを確かめた。 この触媒反応の機構を考察する一助として、非対称な4,4-diethoxycarbonyl-1,6-octadiyneおよび4-oxa-1,6-octadiyneを基質として環化-ヒドロシリル化を行ったところ、いずれの場合も内部アルキンにケイ素置換基が導入されていることが分かった。そこで、触媒サイクルは、H-Pd^+活性種上に配位した末端アルキンがhydropalladationを受け、ついで、これも配位している内部アルキン部位に環化を伴ったcarbopalladationを起こすものと推定した。このexo-methylene上の炭素-パラジウム結合がシリル基で置換されて生成物を与え、同時にH-Pd^+活性種が再生して触媒サイクルが一巡する。 今後の展望としては、これらの生成物がいずれも1,3-ジエニルシラン構造を有するので、各種脂肪族親電子置換やFriedel-Crafits反応を駆使して、新たな2、3環骨格形成に展開を図る。
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[Publications] T.Uno, S.Wakayanagi, Y.Sonoda, K.Yamamoto: "Cationic Palladium Complex-Catalyzed Cyclization-Hydrosilylation of 1,6-Heptadiyne and Its Homologs"SYNLETT. No.13. 1997-2000 (2003)