2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規なバイオ成分分離膜デバイスを創製する非吸着性マテリアルの開発
Project/Area Number |
15550110
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
長瀬 裕 東海大学, 工学部, 教授 (40155932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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Keywords | ホスホリルコリン / ジアミンモノマー / 芳香族ポリアミド / 抗血栓性材料 / バイオマテリアル / 生体適合性 / 膜透過性 |
Research Abstract |
耐熱性と機械的強度に優れた生体適合性高分子材料を目的として、昨年度合成に成功したホスホリルコリン(PC)基含有ジアミンモノマーを原料に、芳香族ポリアミドおよびポリウレタン-ウレアなどにPC基を導入した各種縮合系ポリマーの合成を行った。本年度は、得られたPC基含有ポリマー膜表面にヒト血液から得た血小板多血漿(PRP)を接触させ表面をSEMで観察することや吸着した血小板を定量することによる血液適合性試験を行い、抗血栓性と化学構造の関係を詳細に検討した。特に、XPS分析等を利用して膜表面の構造解析を行い、膜表面にPC基が多いほど血小板の吸着が抑制されることを明らかにした。さらに、剛直な主鎖構造を導入したポリアミドではPC基濃度が膜表面に比べ膜内部のほうが高くなることもわかり、分子設計を考える際に有用な知見が得られている。また、PC基含有ポリウレタン-ウレアを本年度合成したが、柔軟なポリオキシエチレン鎖を導入することでフィルムやチューブを作成できる機械的特性に優れたポリマーとなることを見出した。抗血栓性に関しても良好な結果が得られており、今後は柔軟鎖をもつ縮合系ポリマーにPC基を組み込みPC基の導入率と血液適合性との関係など、目的とする機能を発現させるための分子設計を進めていく。 一方、透過性の高い高分子膜材料としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を側鎖に導入した同様な縮合系ポリマーの合成を別途検討しており、気体や液体の透過性に優れた膜素材であることを実験的に明らかにしてきた。本年度は特に、PDMSグラフト化芳香族ポリアミドの合成と透過性の評価を行い、高い透過性と耐久性に優れた分離膜素材として機能することを見出している。 以上述べた本年度の知見に基づき、今後はPC基とPPMS鎖を併せ持つ縮合系ポリマーの合成を試み、本研究の目的となる、物質透過性が高くタンパク質などの吸着が少ないバイオ成分分離膜素材の開発研究をさらに推進する予定である。
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