2003 Fiscal Year Annual Research Report
選択的な構造変換によるインターロックト分子の高機能化
Project/Area Number |
15550128
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木原 伸浩 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (30214852)
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Keywords | ロタキサン / カテナン / 二級アミドの水素結合 / 末端官能基変換反応 / スルホレン / Dials-Alder反応 / スルホン酸アリールエステル / 鈴木-宮浦型カップリング反応 |
Research Abstract |
アミド結合同士の水素結合相互作用を利用して、軸上にマスクした1,3-ジエンであるスルホレン構造を有するロタキサンを合成した。ジエノフィル存在化でこのロタキサンを加熱したところ、スルホレンの分解とDiels-Alder反応が同時に起こり、ジエノフィル由来の官能基を有するロタキサンが得られた。さらに、このロタキサンをオゾン酸化したところ環開裂し、軸の伸長したロタキサンが得られた。ジエノフィルとしてアセチレンジカルボン酸エステルを用いたところ、オゾン酸化によって芳香族化し、期待したようなロタキサンの軸の末端官能基変換は起こらなかつた。一方、同様にアミド結合同士の水素結合相互作用を用いて、スルホレン部位を一方の輪に、ジエノフィルとなるフマル酸エステル構造をもう一方の輪に、それぞれ有するカテナンを合成した。このカテナンを加熱したところ、Diels-Alder重合反応によつて橋渡し構造を有するポリカテナンが得られた。橋渡し構造を有しているとはいえ、ポリカテナンが得られたのは世界で最初のことである。また、アシル化エンドキャップ法により、軸末端に嵩高いスルホン酸のアリールエステルを有するロタキサンを合成した。さらに、このロタキサンを用いて嵩高いボロン酸との鈴木-宮浦反応を検討したところ、触媒としてNi(dppf)を用いることによって、最大33%の収率で、スルホン酸部位をボロン酸由来の官能基に置換したロタキサンが得られた。Ni(dppf)は嵩高いため、スルホン酸アリールエステルへの酸化的付加、トランスメタル化、還元的脱離のいずれの過程においても末端はエンドキャップされたまま反応が進行し、ロタキサン構造が崩れることなく対応するロタキサンへと変換することができた。
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[Publications] N.Watanabe et al.: "Photoinduced Intrarotaxane Electron Transfer between Zinc Porphyrin and [60] Fullerene in Benzonitrile"Angew.Chem.Int.Ed.Engl.. 42・6. 681-683 (2003)
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[Publications] Y.Furusho et al.: "Dynamic Covalent Approach to [2]-and [3] Rotaxanes by Utilizing a Reversible Thiol-Disulfide Interchange Reaction"Chem.Eur.J.. 9・12. 2895-2903 (2003)