2004 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合性官能基を有するスフィンゴミエリン2分子膜の水和特性に関する研究
Project/Area Number |
15550133
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
児玉 美智子 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40101282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 進 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10194284)
青木 宏之 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (80248202)
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Keywords | スフィンゴミエリン / 脂質2分子膜 / 脂質ミクロドメイン / 入れ込みがた配列 / 層間水 / 示差走査熱量測定 / X線回折 |
Research Abstract |
近年、生体膜における脂質2分子膜に対する新しい概念が提唱されている。これに関連して、脂質ラフト(いかだ)あるいは脂質カベオラ(くぼみ)構造に多くの研究者の注意が払われている。これに呼応して、我々は、代表的なスフィンゴリン脂質であるスフィンゴミエリンの2分子膜の研究に着手した。天然由来のスフィンゴミエリンは、広範囲に分布するアミド結合性の脂肪酸鎖長によって特性される。本研究においては、天然の牛脳由来のスフィンゴミエリンの水和特性を、異なる水分率の試料によって得られた氷融解示差走査熱量測定(DSC)曲線の成分分割法によって検討した。これとの比較において、同一鎖長のアミド結合された脂肪酸を有するN-パルミトイルスフィンゴミエリン(C16:O-SM)を、天然スフィンゴミエリンの脱アシル化-再アシル化によって半合成し、その最終生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。その半合成スフィンゴミエリンに対しても、天然スフィンゴミエリンと同様の方法を用いて氷融解DSC曲線を測定した。本研究において得られた結果は以下のとうりである:(1)不凍結層間水分子数は、天然スフィンゴミエリンに対しても半合成スフィンゴミエリンに対しても同じで、6H_2O/lipidであった;(2)凍結層間水分子数に関しては、天然スフィンゴミエリンは、半合成ズフィンゴミエリンの約2倍量である;(3)スフィンゴシン鎖(C=18)と比較してより長いアミド結合性の脂肪酸鎖を有する天然スフィンゴミエリンは、2分子膜内において入れ込み型構造を形成するので、それの2分子膜表面は平板ではなく、すなわち、2分子膜の表面に形成される凹凸構造が2分子膜間にウォータープールをもたらす;(4)半合成スフィンゴミエリンは2分子膜間に平板表面を形成する;(5)2分子膜表面が平板か、あるいは凹凸構造であるかの違いに基づいて、2分子膜の間の領域に取り込まれる水分子の数は異なり、その数は天然スフィンゴミエリンに対するほうが、半合成スフィンゴミエリンに対するよりも多い。
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Research Products
(5 results)