2004 Fiscal Year Annual Research Report
廃プラスチックの化学原料化ケミカルリサイクルのための高性能分解触媒の開発
Project/Area Number |
15550136
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
上道 芳夫 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (90168659)
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Keywords | 廃プラスチック / ポリプロピレン / リサイクル / 触媒 |
Research Abstract |
廃プラスチックの過半を占めるポリオレフィンを化学原料として有用な低級オレフィンへ選択的に分解するケミカルリサイクルプロセスを確立するための触媒の開発について検討した。 結晶性アルミノシリケートで細孔径が0.55nmのホウ素シリケートは、ポリプロピレン(PP)の分解を促進する有効な触媒であり、525℃での低級オレフィン(C2-C5)の収率は約60%であった。一方、平均細孔径が3.8nmのメソポーラスシリカMCM-41触媒では低級オレフィン収率は約40%であった。PPの分解は逐次的低分子化反応であり、初期段階では細孔径の大きな触媒が有効であろうと推測される。そこで、ホウ素シリケートとMCM-41を物理的に混合した触媒系について検討したところ、複合触媒はそれぞれ単独で用いた場合よりも高活性で低級オレフィンの収率は65〜80%に達することがわかった。さらに、生成物のオレフィン/パラフィン比も大きくなり、オレフィン選択性も向上した。このような複合効果はホウ素シリケートとMCM-41の混合比が1:1のとき最大であった。 触媒の固体酸性をアンモニア昇温脱離法(NH3-TPD)で検討したところ、混合による固体酸性の向上は認められなかったので、複合効果はMCM-41の大きな細孔に起因することが示唆された。すなわち、MCM-41との複合化によって、ホウ素シリケート上では進行しにくい大きなフラグメントの分解が促進されたものと理解される。本複合触媒の開発は、廃プラスチックを循環型炭素資源とするリサイクルシステムの構築に寄与するものである。
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