2003 Fiscal Year Annual Research Report
粘土鉱物と金属錯体で構築する自然共生型ナノ構造触媒の創製
Project/Area Number |
15550137
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
島津 省吾 千葉大学, 工学部, 助教授 (10178957)
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Keywords | 粘土鉱物 / インターカレーション / 分子認識触媒 / 固体NMR / ナノ複合体 / 金属錯体 / 水素化反応 / 自己集合 |
Research Abstract |
本研究では、より均一な活性サイトの構築を目的として、自己集合性を持つピラー錯体を分子設計して粘土鉱物層間に導入することにより、著しく結晶性の高い金属錯体-粘土鉱物ナノ複合体を得た。結晶中のピラー錯体は、溶液中と大きく異なる特徴的な立体構造を保持していた。この特徴的な構造により、均一系触媒と顕著に異なる反応挙動を示した。触媒の繰返し実験を行いリサイクルの可能性も検討した。 1.ピラー錯体の合成とその分子集合性 合成したピラー錯体は超分子構造を形成しやすいことが分かった。長鎖アルキル基を有するピラー錯体のみで、層状構造を形成した。さらに、アルキル鎖の炭素数に比例して、層間隔が拡大した。単結晶X線解析より、アルキル鎖はall-trans配座を取り錯体分子面から約30度方向に伸びていた。主にアルキル鎖間の疎水相互作用およびpyridine環のπ-πスタッキングが高い分子集合性に寄与していた。これらXRD結果は、固体NMR測定結果と良く一致した。 2.金属錯体-粘土鉱物ナノ複合体の合成と構造解析 粘土鉱物にピラー錯体をインターカレートして、高結晶性のナノ複合体を合成した。アルキル基の炭素数に比例して層間隔が拡大した。アルキル鎖は錯体分子面から約28度方向に伸び、ゲスト錯体は2分子層を形成していると考えられる。固体NMR測定により、アルキル鎖はall-transと部分的なgauche配座を取り、効率の良いパッキングをしていた。結晶性の向上には、ピラー錯体-粘土層間の静電引力およびアルキル鎖間の疎水相互作用が寄与していると結論した。MeOHなどの極性溶媒で粘土鉱物層間を膨潤させても、ピラー錯体のアルキル鎖構造はほぼ一定で、ランダムな配座を取らないことがわかった。 3.触媒反応性とリサイクル性 これらのナノ複合体を用いたオレフィン水素化では、層間隔に応じて活性が増大し、層間隔が分子認識性を示した。さらに、これら触媒は、10回までの繰り返し反応で活性低下は観測されず、高いリサイクル性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.SHIMAZU, M.SUZUKI, N.ICHIKUNI, T.UEMATSU: "Asymmetric Hydrogenation of Acetophenone by Rh(I)-BINAP Supported on Smectites with Various Interlayer Distances"Journal of Ion Exchange. 14. 397-400 (2003)
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[Publications] Lin Fan, Nobuyuki Ichikuni, Shogo Shimazu, Takayoshi Uematsu: "Preparation of Au/TiO_2 catalysts by suspension spray reaction method and their catalytic property for CO oxidation"Applied Catalysis A : General. 246. 87-95 (2003)
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[Publications] N.Ichikuni, Nobuyuki, T.Eguchi, H.Murayama, K.Bando, S.Shimazu et al.: "Preparation of mesoporous silica anchored Mo catalysts and in-situ XAFS characterization under propene photometathesis reaction"Studies in Surface Science and Catalysis. 146. 359-362 (2003)
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[Publications] 島津省吾: "層間修飾による分子認識スメクタイト触媒の開発"スメクタイト. 13. 25-30 (2003)
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[Publications] N.Yamaguchi, S.Shimazu, N.Ichikuni, T.Uematsu: "Synthesis of nano-structured clays : unique conformation of pillar complexes"Chemistry Letters. 33. 208-209 (2004)
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[Publications] N.Ichikuni, H.Murayama, S.Shimazu, T.Uematsu: "Activation of Bulk MoO_3 Catalysts by Spray Reaction Method for Propene Photometathesis Reaction"Catalysis Letters. 93. 177-180 (2004)