2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規反応性核酸によるゲノム配列特異的な点変異導入法の開発
Project/Area Number |
15550148
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永次 史 九州大学, 薬学研究院, 助教授 (90208025)
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Keywords | 2-アミノー6ビニルプリン / アンチセンス / 反応性核酸 / 化学的点変異誘導 / ドラッグデリバリーシステム / ダブル活性化構造 |
Research Abstract |
本研究者は反応性核酸2-アミノー6-ビニルプリンを独自に設計し、この構造を基に合成した核酸誘導体を含む3本鎖形成オリゴヌクレオチドを標的プラスミドと反応させ、そのプラスミドを細胞内へ導入しその複製過程で、反応部分においてのみ非常に選択的に点変異を誘導することをすでに明らかにしている。しかし本反応は酸性条件でしか進行しないため直接細胞内での点変異誘導に用いることはできない。またオリゴヌクレオチドは細胞内透過性、安定性が低いことから細胞内へ適用するためにはドラッグデリバリーシステムが必要である。そこで本年度はまず中性条件下、標的に対して2本鎖を形成することで反応性を示す反応性核酸の開発を目的とした。すでにビニル基に電子吸引基としてスルフォキシド基を導入した誘導体が中性条件下でも効率よく反応することを明らかにしている。そこでこの構造に基づき、2本鎖を形成することで活性化される分子として、さまざまなビススルフィド基を有するダブル活性化構造を持つ誘導体を設計・合成しその反応性を検討した。その結果、アルコールを置換基として有するビススルフォキシド体が非常に効率的に反応し、反応1時間後、約50%の収率で付加体を与えることがわかった。またポリエチレングリコールを結合させた反応性オリゴヌクレオチドを合成し、細胞内へのドラッグデリバリーシステムとしてPICミセルを用いることで、反応性核酸が細胞内で天然型のアンチセンスオリゴヌクレオチドにくらべそのアンセンス効果を増強できることを明らかにした(共同研究)。さらにこの増強効果は反応性核酸の導入位置がひとつずれた配列を用いた時には観測されず非常に選択性が高いこともわかった。これらの結果は細胞内でも反応性オリゴヌクレオチドが目的の反応を起こすことを示唆していると考えている。
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