2003 Fiscal Year Annual Research Report
模擬原始高温海水中で機能するRNAのポリメラーゼモデルの開発と解析
Project/Area Number |
15550150
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川村 邦男 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (50204772)
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Keywords | RNA / オリゴヌクレオチド / 化学進化 / RNAワールド / 水熱反応 / 高温水溶液 / 反応速度論 / 鋳型支持反応 |
Research Abstract |
RNAワールド仮説は生命の起源に関する仮説として重要であるが,生命の熱水起源の視点から見ると難点がある.RNAは高温水中では加水分解しやすく,また生体機能を発現する上で不可欠な水素結合や疎水性相互作用が弱まるので,高温水中ではRNAワールドが自発的に出現したとは考えにくい.しかしこのことを検証した研究はなかった.その理由の一つはこれを検証するための良い反応モデルがなかったことにある.本研究ではオリゴヌクレオチドの非酵素的な生成反応として以下の3種類の反応系について,高温水中で起こり得る原始ポリメラーゼモデルとしての可能性を検討した. 1.グアノシン5'-モノリン酸のリン酸基をイミダゾールで活性化したヌクレオチドは,鋳型としてポリシチジル酸の存在下で重合する.この反応に対して,種々のアミノ酸とアミノ酸が熱重合したタンパク質状物質が,高温下で促進効果を持つかどうか調べた.その結果,ヒスチジン以外のアミノ酸あるいはヒスチジンを構成要素として含まないタンパク質状物質は,この反応に対してほとんど影響を与えないことが分かった. 2.6〜12鎖長でグアニンとシトシンを主に含む,5'末端にリン酸基をもち3'末端がリボースであるオリゴヌクレオチドは,水溶性カルボジイミドの存在下で,縮合して環状のオリゴヌクレオチドを生成する.この反応はリン酸ジエステル結合の生成反応と見なすことができるので,その生成速度定数を0〜75℃の範囲で決定した.この生成速度は,リボースリン酸ジエステル結合の加水分解速度よりも50倍以上大きく,100℃を越える熱水中で核酸は生成し得ることが強く推定された. 3.14鎖長のシトシンおよびグアニンを含みヘアピン構造をとり得る塩基配列を持っオリゴヌクレオチドを,水溶性カルボジイミドの存在下で反応させた.この生成物を分析したところ,伸長反応が起こったことが確認された.
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[Publications] 川村邦男, 蔵之上和博: "オリゴグアニル酸の鋳型指示生成反応に対する生体アミノ酸の影響"Viva Origino. 31・3. 188-200 (2003)
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[Publications] Kunio Kawamura, Noriyuki Nakahara, Fumitaka Okemoto, Noriko Okuda: "Temperature dependence of the cyclization of guanine and cytosine mix hexanucleotides with water-soluble carbodiimide at 0-75℃"Viva Origino. 31・4. 221-232 (2003)
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[Publications] 川村邦男, 岡村文敬, 奥田宜子: "水溶性カルボジイミドを用いるオリゴヌクレオチドの縮合反応に対する鋳型オリゴヌクレオチドの影響:高温下で働くことをめざしたRNA生成モデルの探索"Viva Origino. 32・2(印刷中). (2004)