2004 Fiscal Year Annual Research Report
模擬原始高温海水中で機能するRNAのポリメラーゼモデルの開発と解析
Project/Area Number |
15550150
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川村 邦男 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (50204772)
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Keywords | RNA / オリゴヌクレオチド / 化学進化 / RNAワールド / 水熱反応 / 高温水溶液 / 反応速度論 / タンパク質状物質 |
Research Abstract |
RNAワールド仮説は生命の起源に関する仮説として重要であるが,生命の熱水起源の視点から見ると問題がある.RNAは熱安定性が低いので高温水中ではRNAワールドが自発的に出現したとは考えにくい.しかしこのことを検証した研究はなかった。本研究ではこれを検証するための反応モデルを探索しオリゴヌクレオチドの前生物的な生成反応として以下について,高温水中で起こり得る原始ポリメラーゼモデルとしての可能性を検討した.さらに理論的な研究を行いRNAワールドとタンパク質の化学進化との関係を考察した. 1.グアノシン5'-モノリン酸のリン酸基をイミダゾールで活性化したヌクレオチドは,鋳型としてポリシチジル酸の存在下で重合する.この反応に対して,種々のアミノ酸とアミノ酸が熱重合したタンパク質状物質が,高温下でどのような効果を持つかどうか調べた.その結果,ヒスチジンあるいはヒスチジンを含むタンパク質状物質は,この反応を阻害した. 2.5'末端にリン酸基をもち3'末端がリボースであるオリゴヌクレオチドは,水溶性カルボジイミドの存在下で,縮合して環状オリゴヌクレオチドとなる.この反応の速度定数を0〜75℃の範囲で決定した.この結果,リボースリン酸ジエステル結合の精製速度は加水分解速度よりも大きいので,熱水中で核酸は生成し得ることが強く推定された. 3.11〜16鎖長のシトシンおよびグアニンを含みヘアピン構造をとり得る塩基配列を持つオリゴヌクレオチドを,水溶性カルボジイミドの存在下で反応させた.この生成物を分析するための方法を検討した.また,伸長反応が起こったことが確認された. 4.これらの結果からRNA単独では最初の生命システムを構成するのは困難であったと理論的に推定されたのでタンパク質状物質の高温下での生成可能性を検討した.その結果,オリゴアラニンが伸長することを見いだした.
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