2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの生物から単離されたペプチド神経毒の合成研究
Project/Area Number |
15550151
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 一紀 福岡女子大学, 人間環境学部, 教授 (10326473)
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Keywords | ペプチド神経毒 / イオンチャネル / イモ貝 / コノトキシン / サソリ毒 / ペプチド合成 / 東南アジア / S-S架橋様式 |
Research Abstract |
1.新規イモ貝毒コノトキシンの合成とS-S架橋様式解明 イモ貝(Conus marmoreus)から単離された新規ペプチド毒コノトキシンCMrIIのS-S架橋様式解明を試みた。選択的2段階S-S架橋法による合成物と天然物をHPLCでのco-elutionにより比較して、C1-C4、C2-C5およびC3-C6の間にS-S架橋があることを示唆する結果を得た。続いて、ショクコウミナシ貝(Conus amadis)から単離された新規コノトキシンAmIVとAmIXの合成を試みた。AmIVは分子内にωコノトキシン型配置の6残基のCysを有し、C端にHyp残基を持つことが特徴である。AmIXは連続しない6残基のCysを有している。天然物の構造を確認するため、それぞれについてC端がアミドのものとフリーのものを合成したところAmIVはC端がフリーであること、AmIXはC端がアミド化されていることが明らかとなった。 2.サソリ毒のS-S架橋様式と立体構造および活性との相関 サソリ(Heterometrus fulvipes)から単離されたHefutoxin-1は22残基のアミノ酸から成り、2本のヘリックスが2本のS-S結合により梯子状に架橋されたU字型の立体構造をもっている。折れ曲がり部分のアミノ酸を1残基および2残基欠損したアナローグを合成したところ、S-S架橋形成はスムーズに進行し、酵素分解の結果、天然物と同じS-S架橋様式が保たれていることが明らかとなった。同族のサソリ(H.spinifer)から単離されたκ-KTx1.3はHefutoxin-1と配列相同性が高いにもかかわらずKチャネルに対する阻害作用を示さない。後者の活性部位であるLys19の隣に前者では塩基性のLys20があることがその原因と予想し、Lys20を中性あるいは酸性のアミノ酸残基で置換したアナローグを合成したところ、阻害活性を示した。
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