2004 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性ポルフィリン亜鉛錯体によるペプチド類のキラル認識に関する研究
Project/Area Number |
15550154
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
今井 弘康 北陸大学, 薬学部, 講師 (60102761)
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Keywords | 水溶性亜鉛ポルフィリン / キラル認識 / アミノ酸レセプター / 多重相互作用 / 配位結合 / クーロン力 |
Research Abstract |
アミノ酸やペプチド類のレセプターとして機能する光学活性な水溶性ポルフィリン亜鉛錯体をラセミ体として合成した。この錯体をHPLCキラルカラムによってエナンチオマーへと分割した。塩基性水溶液中で、各エナンチオマーとキラルなアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド類との会合定数Kを可視吸収スペクトル変化によって求めた。 このポルフィリン錯体は、C_2対称性をもち、中心亜鉛イオン近傍に四級アンモニウム基および疎水性側鎖としてフェニル基(ZnP)またはt-ブチル基(ZnB)を有する。前年度の研究はZnPに関するもので、二種のエナンチオマーでキラルなアミノ酸およびジペプチドとのKが1.2〜3.3倍異なることを示した。今年度は、ZnPの低い溶解性の改良およびキラル認識発現の詳細の検討を目的として、ZnBを合成、分割した。その結果、キラルなアミノ酸およびジペプチドに対し、ZnBはZnPと同等、もしくはそれ以上のキラル認識能(2種のエナンチオマーに対するKの比で最大約5)を持つことがわかった。アミノ酸陰イオン類に対してのキラル認識能の発現には、(1)アミノ基と亜鉛イオンの配位結合、(2)カルボキシレート基とポルフィリンアンモニウム基とのクーロン力、(3)アミノ酸側鎖とポルフィリンフェニル側鎖との間の立体障害もしくは疎水的相互作用、の三種の相互作用がいずれも有効に協同的に作用した結果であると結論づけられる。ここで、(3)の相互作用が立体障害(反発力)と疎水相互作用(引力)のいずれに相当するかは、エナンチオマーの絶対配置が判明すればよい。現在、これらの絶対配置を決定するため、会合定数Kを基にして、会合体である2種のジアステレオマーに対するNMRの測定条件を検討中である。
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Research Products
(1 results)