2004 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系高分子超薄膜の構築と有機ナノデバイスへの展開
Project/Area Number |
15550157
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 純 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (50250709)
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Keywords | π共役系高子 / ラングミュア-プロジェット法 / 両親媒性高分子 / 有機ナノデバイス |
Research Abstract |
昨年度の結果に基づき本年度の研究では、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(PHT)混合LB膜を有機電界発光(EL)素子の正孔注入層として応用する研究を行った。ITO電極の仕事関数に比べPHTのそれは0.6eVほど小さく、正孔注入効率を改善できるため正孔注入層としてPHTを用い、これを混合LB法によって成膜し、有機ELデバイスの作製を行いデバイス特性の評価を行った。 正孔注入層以外は代表的な有機Eh素子と同じ構造にした。陽極としてITO電極、正孔輸送層としてトリフェニルジアミン誘導体(TPD)、発光層および電子輸送層としてアルミニウムキノリン錯体(Alq3)、電子注入層としてCaおよび陰極としてAlの構成である。PHT混合LB膜以外は昨年度備品として購入した真空蒸着装置を使い、有機電界発光素子を作成した。正孔注入層の機能としてはITO電極との仕事関数の差が少ないことが要求されるためPHTを選んだ。また、正孔の注入はITO電極と正孔注入層との界面近傍のみが重要であるため、超薄膜が要求される。そのため、PHTの超薄膜を作製することができるN-ドデシルアクリルアミドポリマー(pDDA)を使った混合LB法により正孔注入層を作製した。 PHT混合LB膜の層数を変えた有機EL素子の印加電圧と輝度の関係を検討した。0.1cd/m^2を発光開始電圧と定義するとPHTのない素子では13Vとなったが、PHT混合LB膜有りでは、層数に比例して発光開始電圧が5層で9Vまで低下し、PHT混合LB膜が正孔注入層として機能していることが明らかとなった。また、発光効率(注入電流に対する輝度)はPHT混合LB膜1層の素子で最大となり、3,5層の素子ではPHTのない素子に比べて悪くなることがわかった。 以上のように有機EL,素子の正孔注入層としてPHT混合LB膜が有効であることまた単層素子において発光効率が改善されることを明らかにした。
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