Research Abstract |
固体中をマグネシウムイオン(Mg^<2+>)やアルミニウムイオン(Al^<3+>)のような,多価金属イオンが移動する新しい全固体二次電池を開発することを目的とし,本年度は以下の項目について調査・検討を行った。 1.異なるイオン性液体を可塑剤として含むゲル電解質の特性評価 カチオン種の異なる2種類のイオン性液体に,Mg塩を溶解して2成分系イオン性液体を調製した。このイオン性液体と網状骨格構造と極性官能基を側鎖および架橋鎖に持つポリマーとの複合体電解質を合成し,その熱的性質やイオン伝導度特性を調査し,イオン性液体には1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)が,Mg塩にはマグネシウム-ビストリフルオロメタンスルホニル)イミド(Mg(TFSI)_2)が適していることを見出した。 2.電極材料の選定および電池反応の評価 上記特性評価の結果を受けて,小形電池セルによるデバイス設計の最適化を行った。電極材料選定に際して,エネルギー密度と可逆性向上の立場から,金属Mg,Mg合金,あらかじめMgをドープした五酸化バナジウムの3種類の負極を選択した。定電流充放電試験の結果から,ポリマー複合体と電極との界面の設計に工夫が必要であることがわかった。 これらの研究成果は,11)研究発表項に記載の学術雑誌に公表したほか,PBFC-2(平成16年8月,ポーランド),2004 ECS/ECSJ合同大会(平成16年10月,ホノルル),2004年日本化学会西日本大会(平成16年10月,大分)で報告し,また,平成17年開催の電気化学第72回大会(4月,熊本)および第56回ISE大会(9月,釜山)などにて報告する予定である。
|