2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15550165
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
坪井 泰住 京都産業大学, 先端科学技術研究所, 教授 (70065861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 正幸 京都産業大学, 理学部, 教授 (80207175)
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Keywords | 有機EL素子 / 有機半導体 / 燐光材料 / 三重項発光 / 白色EL / 燐光寿命 |
Research Abstract |
有機EL素子の発光材料として最近注目されている燐光材料を用い、光励起発光を10-300Kの温度範囲にわたって調べた。有機燐光材料をゲストにして種々のホスト材料にドープした薄膜を作り、発光強度の温度変化からゲストーホスト間のエネルギー伝達を明らかにした。燐光材料としてイリジウム錯体Ir(ppy)_3や白金錯体PtOEPを選び、ホストとしてCBP, TPDなどの蛍光材料を選んだ。ホスト分子励起により多波長発光の白色発光が観測された。励起波長により発光強度の温度変化が、ゲスト分子のみならずホスト分子においても異なることが見つけられた。これらの現象は、ホストの最低三重項状態準位がゲストの最低三重項状態準位より高いエネルギー値を取るか否かによって大きく変わる。Ir(ppy)_3とPtOEPを共存させたTPDホストの場合、前者から後者へのエネルギー伝達が起こるが、その逆過程は起こらなかった。燐光分子の最低三重項状態準位が3つの準位から成り立っており、それらの間でphononの放出吸収の緩和と、さらにホストーゲスト間のphonon吸収放出を伴うエネルギー伝達を仮定すると、発光寿命と発光強度の温度変化それぞれについて実験データと一致する計算結果が得られた。 有機EL素子に関しては、CBPホスト分子にドープされたPtOEP分子またはIr(ppy)_3を発光層にもつものとの2種類について電荷注入発光(EL)と光励起発光(PL)の実験を行った。α-NPD正孔輸送層からのEL発光がゲスト分子からの発光に加えて観測されたが、CBPホストからの発光は観測されなかった。CBPホストは注入された電子と正孔をゲスト分子に運ぶ役目をし、ホスト自身が励起子を作らないと解釈された。即ち、薄膜でのPLの場合と違ってEL素子ではホストからのエネルギー伝達の割合が少ないと考えられた。
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